21日、オリンパス社に東京地検特捜部などが家宅捜索に入りました。容疑は有価証券報告書の虚偽記載罪。有価証券報告書とは、決算情報など企業の重要情報を公表するための書類です。

 オリンパスは、証券投資による巨額の損失を隠そうとして粉飾決算を行い、有価証券報告書にうその記載をしたと言われています。オリンパスの弁護をするつもりはないですが、今の特捜部に「虚偽記載」を訴追する資格があるのでしょうか。

 現在係属中の小沢さんの裁判で、特捜検事の重大な「虚偽記載」が判明したのです。検察審査会が小沢さんを起訴すべきと判断した最大の証拠は、石川代議士が小沢さんの関与を認めた供述調書です。石川さんを取り調べた田代検事は、別途、上司の指示で「捜査報告書」なるものを作って検察審査会に提出していました。

 そこには、石川さんが小沢さんに不利な供述をした理由について、例えば、

「検事から『あなたは11万人以上の選挙民に支持されて国会議員になった。ヤクザの手下が親分を守るためにウソをつくようなことをしていたら、選挙民を裏切ることになる』と言われたのが結構効いた」

などと、石川さん自身が率直に語ったかのように書かれていました。

 ところが、15日の公判では、石川さんが録音した取り調べの状況などから、そのような発言は一切ないことが明らかになりました。しかも、小沢さんの弁護人から捜査報告書に虚偽記載をした理由を問われ、田代検事は「記憶が混同した」などとあり得ない弁解をしたのです。

 この虚偽記載は刑法の虚偽公文書作成罪に当たるだけでなく、検察審査会の判断を相当歪めた可能性があります。マスコミはオリンパス事件ほど報じていませんが、極めて重大な問題です。身内の「虚偽記載」には目をつぶり、他人の「虚偽記載」だけ厳しく追及する特捜部の姿勢は、自分に甘過ぎると言わざるを得ません。

 このように書くと、「政治家も自分に甘過ぎる」というお叱りを受けるかと思います。まさしくその通りで、消費税を上げようとするなら議員定数を減らし、行政改革を徹底してやるべきです。

 自分自身、今年を振り返ってみると、不祥事が起きても体質が改まらない特捜部をはじめ、震災復興より保身を優先しているように見えた前総理、仕分けで税金の無駄遣いが判明した中央省庁には、国会の内外で厳しい意見を述べてきました。

 特捜部を反面教師として、今後も相手が誰であれ国民の健全な常識に反することにはきっぱり物を申せるよう、常に自分に厳しくありたいと思っています。