25日の深夜、ユネスコの世界遺産委員会において、岩手県平泉町の「仏国土(浄土)を表す建築・庭園」が世界文化遺産に登録されることが決まりました。

3年前にも登録のチャンスがありましたが、惜しくも落選。当時は
岩手・宮城内陸地震の直後で、平泉の世界遺産落選は震災と合わせ、二重のショックでした。

しかし、期せずして、先の地震よりはるかに被害が大きい東日本大震災の年に世界遺産登録が認められました。これから被災地の復興を進める上で、大きな朗報です。

すなわち、今から約900年も昔、前九年の役、後三年の役と戦乱が続いた東北の地が、地元の奥州藤原氏の手で復興を果たし、復興の中心地である平泉は、他に類を見ない極楽浄土を模した理想郷として、当時の東日本最大の都市へと発展を遂げました。

今回の震災では、中央のお仕着せではなく地域の知恵と力で復興を果たし、元に戻す復旧ではなく創造的復興を実現していくことが被災地に求められていますが、それを大昔に達成したのが平泉なのです。

平泉が世界に認められたことで、これからますます被災地の復興の機運が盛り上がるはずです。

同じ日に復興構想会議がまとめた提言の中にも、被災地の復興を後押しする内容が含まれていました。「『特区』手法の活用と市町村の主体性」という項目です。

「民間の資金を活用しつつ、きめ細かい支援措置を行うため、地方分権的な規制・権限の特例、手続きの簡素化、経済的支援などの措置を一元的かつ迅速に行える『特区』手法が有効であり、使い勝手のよい自由度の高い交付金の仕組みが必要」と述べています。

平泉という世界遺産を単に相続するだけでなく、第二、第三の「平泉」を被災地に誕生させ、次の世代に相続できるよう、この提言を早急に実現させたいと思っています。