30日、私を含む衆議院財務金融委員会の委員13名が参加して、神奈川県小田原市にある国立印刷局の工場と研究所、横浜市にある横浜税関の視察が行われました。

 国立印刷局では、全国4か所の工場で1万円札など紙幣を製造しており、小田原工場は、印刷前の製紙段階から製造する最大の工場です。模造紙程度の大きさの紙に縦横びっしりと1万円の印刷が施され、半ば手作業で裁断します。機械だけでは正確な裁断ができないというのは意外でした。出来上がった新札は、人間の目で印刷ミスなどがないか検査します。一人1日に30万枚(1万円札で換算すると30億円)ものお札をチェックするとのことでした。

 また、工場に隣接する研究所では、紙幣の偽造を防止するための研究開発が行われています。日本の紙幣は、隠し模様が何種類もあるなど偽造防止技術が極めて高度であり、偽造発見割合は275万枚に1枚程度で、ユーロの137分の1、ドルの275分の1の割合です。

 その後小田原から横浜に移動し、大型X線検査装置による貨物の検査や麻薬探知犬の訓練を視察しました。一見普通の貨物でも、二重底にするなど巧妙な方法で違法薬物などが隠されており、その摘発にX線検査や麻薬探知犬が威力を発揮します。

 偽札や薬物が蔓延する社会は想像するだけで恐怖ですが、日本では幸いそのような危険をあまり感じません。しかし、その陰では「見えない敵」と日夜闘っている方々がいます。日本社会の治安と秩序の根幹に触れ、感銘を受けた一日でした。