3日の財務金融委員会では、預金保険機構の永田俊一理事長に質疑を行いました。預金保険機構は、預金者等の保護を図るため、金融機関が破たんした場合に原則一人1000万円までの預金保険を支払ったり、破たん処理に必要な資金援助を行ったりする組織です。

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永田理事長はそのトップとして2期4年を勤め、今回3期目の再任に国会が同意するかどうかが問題になっています。今回の質疑は、永田理事長の再任に同意するかどうかの判断材料を集めるために行いました。しかし、私の質問に対する答弁を見る限りでは、再任に疑問符を付けざるを得ません。

その理由として、以下の3点が挙げられます。

国民負担の極小化への意欲が感じられないこと。-これまで破たん金融機関の処理につき38.5兆円の公的資金が使われ、まだ24.4兆円しか回収できていません。追加で回収できそうなのは現時点で5兆円程度であり、9兆円ぐらいが回収不能で国民の負担となりそうです。この莫大な国民負担を少しでも減らそうという意欲が感じられませんでした。

説明能力が不十分であること。-今後の業務方針につき用意した答弁書を棒読みしたり、子会社であるRCC(整理回収機構)の計理状況につき満足に答えられなかったり、過去4年もトップの地位にあった方とは思えませんでした。

目ぼしい実績がないこと。-政府が用意した資料の「任命理由」の欄には、公的資金の回収で合計2.8兆円の利益を挙げ、「多大な実績をあげてきた」とありますが、今後の回収見込みなども考えると実質的な利益はその半分ぐらいであり、実績を過大評価しています。

質疑後の民主党財務金融部門会議でも、同様の意見を述べさせていただきました。私が以前勤務していた日本長期信用銀行も不良債権処理に失敗し、経営破たんで多額の公的資金が投入されました。当時一介の行員であった私も、その責任は感じております。バブル崩壊後に不良債権処理を先送りしたと言われる大蔵省。その中枢で金融行政に携わっていた永田理事長が公的資金の重みを感じていないことに愕然としました。