先月27日から衆議院の予算委員会で来年度予算案の審議が始まりました。その矢先の2日、政府与党から野党に対して前代未聞の審議日程が提案されました。3月中に予算を成立させるため、例年の約半分の期間で衆議院の審議を終えようというのです。しかも、高市首相が答弁に立つのは最初の3日間と最終日だけという案です。
今回の予算案は過去最大の122兆円、国民一人当たり約100万円という規模です。その中には、基金として当分寝かせる資金や、トランプ大統領のご機嫌取り予算、過去のバラマキのツケである借金の元利払いも多く含まれています。仮に自分の100万円を他人に託すとしたら、使い方はもちろん、託す相手が信頼できるかも厳しくチェックするはずです。
そのチェックを受ける機会をなるべく減らしたいというのが、政府与党の本音です。3日に私が行った幹事長として初めての定例記者会見で、政府与党の提案に対し、「前代未聞の考えられない暴挙だ」と厳しく批判しました。その理由は三つあります。
第一に、審議短縮の「必要性」がないこと。中道など野党の多くは、軽油の暫定税率廃止に関する法案や公立小学校の給食無償化に関する予算など、3月中に成立しないと国民生活に支障が出るものは、全体の予算案と切り離して成立に協力すると表明しています。それ以外の部分を4月以降に成立させても問題はなく、審議を短縮する必要はありません。
第二に、審議短縮の「合理性」がないこと。イラン戦争、トランプ関税、中国の圧力など外交防衛に関する問題をはじめ、ホルムズ海峡封鎖によるエネルギー価格上昇、「責任ある積極財政」で加速した円と国債の下落、少子高齢化で危ぶまれる社会保障制度の持続可能性など、集中審議のテーマは数多くあります。これを省略する合理的な理由はありません。
第三に、首相が審議短縮を求めることに「正当性」がないこと。3月中の予算成立が難しくなったのは、高市首相が1月23日に衆議院を解散し、2月半ばまで国会が停止したためです。仮に解散総選挙がなくても、3月までに予算が成立するかは微妙でした。例えるなら、最低2か月は必要な建設工事について、発注者の都合で予定より1か月も遅く開始したのに、発注者から1か月で仕上げろと無理難題を押し付けられているようなものです。
4日、野党5党の国対委員長が衆院議長らに審議の充実を求め、「国会は政府の下請け機関ではない」と抗議しました。今年から「下請法」も「取引適正化法」に改められています。今や、大手企業が中小の「下請け機関」に発注する場合であっても、公正な取引を行い、「下請け」の利益を守らなくてはなりません。社会常識に反する「暴挙」は許されません。