東京圏を中心に地価が大幅に上昇し、日経平均株価は最高値を更新。ネット上では「もうけ話」と「もうかった話」があふれています。ネット情報を鵜吞みにして安易に不動産や株に投資をして損害を被った事件も後を絶ちません。まさに投資や金融に関する情報は、「悪貨が良貨を駆逐する」状況です。私自身は、30年前に銀行で株式投資を行う部署に配属され、投資の難しさを実体験しました。おかげで「悪貨」の誘惑に負けることなく、バブル経済の崩壊や政治資金の確保に苦労しつつも、今まで何とか家計をやりくりしてこられました。

「投資や金融の知識がなければどうなっていたか」と、背筋が寒くなります。老若男女や仕事柄を問わず、中立公正な金融教育を受けたいと思う国民は多いのではないでしょうか?こうした声に応えるべく昨年設立されたのが「J-FLEC(金融経済教育推進機構)」です。18日、安藤聡・理事長らのご案内で、その本部を視察。J-FLECは金融の中心地である日本橋にあり、現在のスタッフは総勢78人。政府(金融庁)のほか、日本銀行や民間金融機関の団体から派遣されています。一般の方からの対面、オンライン、電話での金融相談を受けるため、「J-FLEC認定アドバイザー」という方も配置されています。

お金に関する悩み事について30分の無料相談ができるとのことなので、私も試してみました。老後の生活資金を蓄える方法を聞いたところ、最初に日々の支出の見直し方法を教えてもらい、金融商品についてはリスクのない元本保証のものを勧められました。商品の勧誘は一切なく、安心して相談することができました。さぞかし申込みが多いだろうと思って利用状況を伺ったところ、業務を開始した昨年8月からの1年でわずか197件とのこと。

もう一つの金融教育の柱である学校や職場などへの講師派遣についても、派遣回数、受講者とも目標の半分にも達していないとの話。発足直後でJ-FLECの業務が国民に十分知られていないことを理由に挙げていましたが、これでは宝の持ち腐れです。

私から「すでにテキストはネットで公開されている以上、それを使う講義もネットで動画配信すれば社会人などの受講者が増えるのではないか。講師を派遣する場合は、テキストにとらわれ過ぎず現場の実情に合わせた教育を行うことにすれば、派遣先が増えて教育効果も上がるのではないか」と提案したところ、安藤理事長から前向きな発言がありました。

金融の知識は、国民が健康で文化的な生活を送る上で不可欠なインフラです。道路や橋などハードのインフラを作る公共事業は、近年「国土強靭化」と呼ばれています。一方、国が行う金融教育は、「生活強靭化」に役立つ新たな公共事業と言えるでしょう。J-FLECの幹部の方々に一層の奮起をお願いし、視察を終えました。