7日、甲子園では阪神ファンによる「六甲おろし」の歌声が響く中、タイガースが史上最速で優勝を決めました。一方、永田町では自民党議員による「石破おろし」の声が響く中、石破首相が退陣を表明。タイガースの藤川監督も石破首相も昨年秋に就任しました。にもかかわらず、一方は味方の力が結集して胴上げで宙を舞い、一方は味方が次々と離れてお手上げで政権が宙に浮いてしまいました。同じ日の両者の対照的な姿は、あまりにも皮肉です。
自民党では、4年前の「菅おろし」、昨年の「岸田おろし」と、本人の意向に反する総理大臣の交代が続いています。ただ、NHKの世論調査で退陣直前の内閣支持率を見ると、菅首相と岸田首相は20%台だったのに対し、石破首相は39%もあり、しかも上昇傾向でした。石破首相は退陣の理由について、「党内に決定的な分断を生むことは本意でない」とか、「政府の機能が停滞することはあってはならない」などと、会見で述べていました。
しかし、党内事情を優先した石破首相の退陣により、再び自民党が総裁選挙を行えば、その後に国会で新たな総理大臣を選ぶことになります。昨年までと違って、いまや少数与党となった自民党の総裁が総理大臣に選ばれる保証はありません。新総裁の動向いかんによっては、かえって党内の分断や政府の機能不全が生じ、国民生活にも悪影響が及びます。
この局面で石破首相が政権を放り出すのは、あまりに無責任だと言わざるを得ません。そうした中、10日には、公正取引委員会が、石油を販売する8社に対して強制調査を行いました。この8社で協議をして、運送業者や建設業者などへ軽油を販売する際の価格を維持したり引き上げたりする「価格カルテル」を結んだ疑いがあるためです。
2年半ほど前から、高騰する各種燃料の価格を引き下げるため、政府は石油元売り会社に合計で7兆円もの補助金を支払ってきました。元売り会社は補助金分を値下げした上で、販売会社に軽油を売っていました。今回の8社は軽油を安く仕入れながら、「価格カルテル」によって高い価格で売り、自分たちの利益を増やしていた可能性が強まっています。
物価高に苦しむ国民を助けるどころか、業者の不正行為と税金の無駄遣いを招いています。そもそもガソリンや軽油の暫定税率を廃止すれば、政府の補助金は必要なく、こんな不正も起こりません。立憲民主党は、かねてから与党に暫定税率の廃止を求めてきました。
さらに、立憲は食料品の値上がりによる家計負担を減らす提案もしています。こうした提案に関する与野党協議に前向きだった石破首相の退陣で、物価高対策は先が読めなくなっています。「物価下ろし」をせずに「石破おろし」に走った自民党議員の見識を疑います。