失言で辞任した江藤大臣に代わった小泉・農水大臣は、就任早々「政府備蓄米セール」を始めました。高騰した米価を下げる必要性は分かるものの、米農家の所得や緊急時の米確保などに悪影響が生じないのか、十分に考えた跡はありません。また、「セール」の値決めは適切か、米全般の価格は今後どうなるかについても、小泉大臣から明確な説明はありません。これらの点につき、30日の財務金融委員会で農水省の幹部に尋ねました。

まず、政府は、5キロで2千円という希望小売価格を試算する際、業者の粗利率を55%と見込んでいます。これは小売業の平均的な粗利率30%に比べて非常に高い水準です。そこで、「マージン(粗利)を抑え、小売価格をもっと低くできるのではないか」と尋ねると、農水省は、「今回は小売業者に直接販売するという異例なケースなので、通常ではないコストがかかると見て価格を試算した」と説明。しかし、通常の取引で必要となる卸売業者への支払いや備蓄米の輸送費が今回は発生しないことを織り込んでおらず、不適切です。

次に、「2千円が妥当かどうかは別として、実勢価格の半額程度のコメが30万トン店頭で売られることによって、全体の米価はどれぐらい下がるか」と尋ねると、「具体的に見通すことは困難」と無責任な答え。私は、米の先物取引の価格が決済期限が先になるほど高くなっていることを指摘し、「これからも米価は上がるのではないか」と追及すると、「今後(価格が)どう動いていくか、推移を見守っていきたい」と他人事のような答弁でした。

米価を下げるために前例のない「政府備蓄米セール」を始めておきながら、価格が下がることを見通せないというのでは、無責任にも程があります。この「セール」は、物価高に苦しむ国民のためではなく、小泉大臣や大手小売店、ネット販売業者などのために行っているように思えます。振り返ってみると、米の先物商品について堂島市場で上場取引が始まったのは昨年の8月です。そして、その頃から米価が急激に上がり始めました。

米の先物を売っておけば、米価が将来下落した場合に安い価格で先物を買い戻すことで、差額を利益にできます。卸売業者などは、この取引を活用することで、米を高値で仕入れても値下がりを気にしなくて済むのです。その結果、仕入れた米を急いで売り捌く必要がなくなり、米の流通量が減って値上がりにつながったのではないか、と私は推測しています。

この見方について、農水省は「先物取引が米の価格高騰を招いたとは認識していない」と答弁しましたが、根拠は薄弱でした。今回の備蓄米の件もそうですが、昔から農業政策はコロコロ変わるため、「猫の目行政」と言われてきました。それに加え、自分より上の者の顔色をうかがう「ヒラメ行政」になってしまったと、今回の質疑を通じて感じました。