4月1日は、嘘を言ってもいい日として「エイプリル・フール」と呼ばれてきました。しかし、最近ではこの言葉をあまり聞かなくなったような気がします。ネット上で叩かれるのを恐れ、有名人が嘘を言うのを自粛しているせいなのか。はたまた、ネット上では匿名で嘘を言いたい放題なので、「エブリデイ・フール」になってしまったせいなのか。理由は定かでありませんが、インターネットの影響力が強まったことは関係していると思います。
そして、ネットの影響力と反比例するように、テレビなどの影響力は低下しています。驚くべきことに、ネットCMに支払われるお金は5年前にテレビCMを上回り、その差は年々開いています。フジテレビのCMになかなかスポンサーが戻らないのは、許し難い不祥事があったことに加え、ネットCMにスポンサーが流れている影響もありそうです。
3日の憲法審査会では、憲法改正案に関する放送CMやネットCMへの規制がテーマとなりました。現在の「国民投票法」に放送CMの規制はありますが、ネットCMの規制はありません。私は、ネットCMの規制も必要だと主張し、理由として、①テレビCMとのバランス、②業界団体の自主規制が及ばない事業者の存在、に加え、③ネットCMは「ターゲッティング広告」という手法を使うため、受け手の意思を支配する力が強いことを挙げました。
「ターゲッティング広告」とは、個人情報やネット利用状況を分析し、相手の関心事や行動パターンなどを割り出し、それに合わせて広告内容、表示方法を変化させる広告のことです。これによって、受け手は自分の嗜好に合う情報に取り囲まれ、幅広い情報をもとに自由な意思で判断することが難しくなります。そして、ネット上では、自分の意見に近い人たちとの交流が強まる傾向があるため、いったん判断を誤ると改めるのは容易ではありません。
これはネットCMの送り手には有利ですが、国民投票や選挙で無制限に使われると、とんでもないことになる危険があります。その最大の例が、「米国産のコメへの日本の関税率は700%」という事実無根の理由により、日本への関税率を24%に引き上げたトランプ氏を選んだ米国の大統領選挙です。選挙中から続く彼の暴論と暴走によって、平和を守り経済を発展させるために国際社会が築き上げてきたルールや秩序が破壊されつつあります。
こうした事態を極力防ぐには、EUのように、「ターゲッティング広告」は受け手の同意を得て行う、受け手が自ら提供した個人情報だけを分析の対象とする、政治的意見など機微に触れる情報は分析の対象としない、といったルールを法律で定めるべきです。と同時に、主権者である国民自身が、無意識のうちに権力者による暴論、暴走を手助けすることのないよう、「ターゲッティング広告」の危険性を十分に理解しておく必要があります。