日銀総裁が植田氏に代わって2年、金融政策が「異次元の金融緩和」から「普通の金融緩和」に変わって1年になります。前任の黒田氏と違って、国会での質問に真摯かつ丁寧、そして論理的に答える植田総裁の姿勢に好感を持ってきました。26日の財務金融委員会でもそのような答弁を期待して質疑に臨みましたが、今回は正直言って「がっかり」でした。
最初にがっかりしたのは、日銀が掲げる2%の物価目標についての答弁です。過去3年にわたって2%以上の物価上昇となっていますが、2%上昇の目標は未だ達成されていないというのが日銀の公式見解です。この物価高ですら2%上昇の目標が達成されないというのであれば、目標は永遠に達成されるはずがなく、「普通の金融緩和」もずっと続きそうです。これでは、円安と物価高は止まるはずがありません。私は、「物価2%を厳格な目標ではなく、『めど』という言い方をして幅を持った目標に変え、金融緩和が永遠に続くという錯覚を与えないようにすべきだ」と植田総裁に提案しました。
植田総裁は、2%の目標を「ある程度の幅を持って考えている」と答えたので、「ならば目標は達成されたのではないか」と尋ねると、「2%の目標の『幅』のところまで来ているかというと、まだちょっと、もうちょっとだ」と、頭脳明晰な植田総裁らしからぬ、いい加減な答弁でした。これでは、目標が達成されていないとする理由になっていません。
次にがっかりしたのは、「異次元金融緩和」で大量に買い込んだ株式の投資信託(ETF)を持ち続ける理由です。世界の主な中央銀行の中で、金融政策のために株式を大量購入したのは日銀だけです。このままでは、発行会社の経営や株式市場に悪影響を及ぼすだけでなく、日銀の発行する通貨すなわち「円」の価値も不安定になりかねません。
このことを指摘した上で、「今なお、ETFを持ち続ける必要があるのか」と尋ねると、「処分をどうするかということを考える中で、その点も考え続けたい」と意味不明な答弁。処分を考えるというなら、持ち続ける必要がないという結論は出ているはずです。「持ち続ける必要がないことを認めているではないか」と追及すると、「処分することが必要かどうかも含めて検討を続ける」と答弁を変え、永久に保有することもあり得るとしました。
日銀は、巨額のETFを保有することで、毎年1兆円以上の分配金収入を得ています。このままでは、日銀の経営安定か、政府の借金減らしか、年々増える防衛費に使われ続けます。本来なら、超低金利が続いたことで資産形成が妨げられた国民に還元されるべきものです。植田総裁の期待外れの答弁の翌日、私が中心となり、「政府が日銀のETFを買い取り、その後に得られる分配金等の収入を若年世代に還元する法案」を衆議院に提出しました。