大船渡市の山火事は、最初の発生から10日になるというのに収まる気配がありません。折からの乾燥した天気と強い風によって複数の火元から火災が広がったようです。多くの民家に燃え移り、亡くなった方も出るなど、平成以降の山火事では最大規模となってしまいました。被災された方々に対し、心よりお見舞いを申し上げます。

そうした中、衆議院の財務金融委員会では来年度の税制改正法案の審議が行われています。与党は、年収200万円までは「基礎控除」を37万円上乗せして、昨年末に123万円に引き上げた「103万円の壁」をさらに引き上げると共に、年収200万円以上850万円以下では年収に応じて3段階で減少する「基礎控除」の上乗せを2年間に限って行う修正案を示しています。これによって減税の恩恵が中間層まで及ぶとしますが、非常にわかりにくい案です。「基礎控除」をいろいろ変えるとなぜ中間層の減税になるのでしょうか?

そもそも所得税は、年収から各種の「控除」を差し引いて、残りの額に税率をかけて計算します。勤め先からの給料で収入を得ている単身者の場合、従来は、年収から「給与所得控除」で最低55万円、さらに「基礎控除」で48万円、合計103万円を差し引いて、残った金額があれば所得税が生じました。「給与所得控除」は年収に応じて変化しますが、これまでの「基礎控除」は、一部の例外を除き一定でした。

もし「基礎控除」を一律に引き上げると、年収にかかわらず減税の恩恵が及びます。ただし、累進課税によって年収が高いと税率も高いため、減税額がより多くなります。そこで、格差拡大を防ぐために年収850万円まで段階的に縮小する「基礎控除」とし、中間層までを対象に2~3万円の減税となるようにしたと思われます。

一方、今の制度では災害で大きな損失を被った人ほど、「基礎控除」上乗せの恩恵を受けられません。なぜなら災害による損失は、所得税を計算する際に「雑損控除」として年収から差し引けるものの、「基礎控除」の前に差し引く必要があるからです。つまり、「雑損控除」が大きくなれば、残額が少なくなって「基礎控除」を差し引く余地がなくなるのです。

そこで、立憲民主党の修正案では、新たに「災害損失控除」を設け、「基礎控除」の後に差し引くことを提案しています。そして、その年に差し引けなかった「災害損失控除」は翌年以降の所得税を計算する時に同じ方法で差し引けるようにし、被災者の税負担を極力減らすようにします。28日の財務金融委員会では、同僚の川内ひろし代議士の質問に対し、修正案の提出者として答弁に立ち、「災害損失控除」の意義を説明しました。被災された方々に対してこそ、「基礎控除」の恩恵を及ぼし、手厚い減税を行うべきです。