日銀は「異次元の金融緩和」の後始末に苦しみ、政府は「異次元の少子化対策」の財源確保が不透明です。日銀の方は、11年続いた「異次元の金融緩和」を3月にやっと終えましたが、この間に「爆買い」した37兆円のETF(上場株式の投資信託)をどのように処分するか未定です。植田総裁は、以前の私の質疑で「大問題だ」と答弁していました。

一方、政府の方は「異次元の少子化対策」に必要な財源のうち1兆円を「子ども・子育て支援金」で賄う予定です。この「支援金」につき、岸田首相は「国民に実質的な負担はない」と繰り返し答弁してきました。しかし、これは希望的観測であって、医療・介護などの予算圧縮と官民の賃上げが進まなければ、負担は確実に増えます。制度が始まる2026年度の状況によっては、国民から「支援金」を徴収することが難しくなるかもしれません。

13日、この二つの「異次元」問題を解決する法案を私が中心となって策定し、衆議院に提出しました。その内容は、①日銀が保有するETFを政府の特別会計ですべて買い取って日銀を身軽にさせ、②その後、特別会計に入ってくる毎年1兆円を超える分配金を少子化対策の財源に充て、③不要になる「子ども・子育て支援金」は廃止する、というものです。

ここで、政府が日銀からETFを買うときの代金をどのように工面するかが問題となります。私たちは、現金ではなく、「交付国債」という政府の小切手のようなもので支払えば、新たに借金をする必要がないことに気付きました。将来、日銀から現金化の要求があれば、特別会計で保有するETFを少しずつ売って、その代金を日銀に渡せばよいのです。問題は株価が下がった場合ですが、ETFの時価は現在70兆円以上もあり、株価が半分程度になったとしても、ETFの売却代金だけで「交付国債」の現金化に応じられる見込みです。

また、岸田首相は、国会で「ETFの分配金は日銀から国庫に納付され、政府の財源として活用されている。仮に少子化対策の財源に充てれば、その分国債の発行を増やすことになる」と答弁していました。しかし、日銀から国庫に納付される金額は過去2年間、当初予想より1兆円以上も上回っています。その主な理由は、ETFの分配金が増えたことです。

予想を上回る収入の使い道を変えることが問題であるなら、岸田首相が「税収が予想を上回ったので国民に還元する」として、今回の減税を強行したこととつじつまが合いません。ETFの分配金こそ国民に還元し、国民を欺くような「支援金」はやめるべきです。

日銀も政府も、自らの「異次元」の政策によって生じた問題を、無責任に先送りしています。「異次元」の問題には、それにふさわしい「異次元」の解決策が必要です。