21日、私が中心になって立案した「就労支援給付制度の導入に関する法律案」を衆議院に提出しました。この「就労支援給付制度」は、二つの給付金から成ります。

① 配偶者の扶養家族だった方が年収130万円を超えて働く場合、社会保険料の負担が生じて手取り収入が急激に減ってしまう「年収の壁」に直面します。この手取り減少分を補うため、「就労促進支援給付」として、年収が130万円を上回って一定額に達するまでの間、徐々に金額を減らしながら給付金を支給します。

② 低所得にもかかわらず国民年金や国民健康保険の保険料を負担している年収130万円前後の方を対象に「特定就労者支援給付」を設け、年収が130万円を上回る場合は①と同様の給付金を支給し、年収が130万円を下回る場合には生活保護など福祉による支援が受けられる手前の年収まで徐々に金額を減らしながら給付金を支給します。

①は、「年収の壁」で就労を控えている人が壁を感じずに働けるようにする仕組みです。しかしこれだけだと、配偶者の扶養に入らず、低所得なのに社会保険料を負担しながら働いている人との間で手取り額の格差が広がってしまいます。そこで②により、両者の間の「年収の歪み」を埋め、低所得の方が働く意欲を高める仕組みを設けました。

また、②の対象となる方には、昨年10月から始まったインボイス制度によって新たに消費税の納税事業者になった方も多く含まれます。政府は、この方々の消費税の負担を1730億円と見込んでいます。その負担を和らげるためにも②の仕組みが必要です。

他方で、現在審議中の来年度の税制改正法案では、一部の大企業に毎年2190億円減税し、これを最長14年にわたって続ける仕組みが盛り込まれています。電気自動車や半導体など五つの「戦略分野」を指定し、その設備投資をした事業者には、生産設備の金額を回収できるまで、法人税を毎年最大40%減税するというものです。

21日の予算委員会の質疑でも取り上げましたが、この減税は、今回、総務省の行政評価局が点検した税の特別措置36件の中で最悪レベルの評価でした。しかも、減税の恩恵を受ける者には、自民党に大口献金している大企業や業界団体が数多く含まれます。

零細個人事業者には増税しつつ、莫大な利益を稼ぐ大企業に減税するのは、「応能負担」という税の大原則に反しており、「税収のゆがみ」を生みます。大口献金先に配慮する「政治のゆがみ」と併せ、正さなくてはなりません。