14日、予算委員会で今年2回目の質疑。前回の質疑で、自民党の派閥パーティの還流金や二階幹事長への政策活動費など、多額の「裏金」が脱税や買収の温床となりうることを私が指摘。これをきっかけに、岸田政権はますます国民の信頼を失っています。今回は、そのことを示す国民の声を三つ取り上げ、岸田首相の見解を求めました。

 第一に、「自民党は、国民に増税を強いる前に、裏金議員に納税させるべき」という納税者の声です。岸田政権は一昨年暮れ、増大する防衛費を賄うために、令和9年度までの間に国民の負担を3兆円程度増やすことを決めました。しかし、昨年秋に突如、3兆円を上回る所得税などの減税も決定。増税した分以上を国民に還元するのなら、そもそも増税の必要はない」と指摘すると、「増税するには経済再生が必要で、そのための減税だ」という趣旨の答弁。ならば、減税⇒増税という順番で決定すべきであって、矛盾しています。

 第二に、「自民党は、農民を罰金で痛めつけ、自分たちは献金で潤うのか」という農家の皆さんの声です。今国会で岸田政権は、異常気象などで食料不足となった場合、政府が農家に増産計画の作成を指示し、従わない農家に罰金刑を科す法案を提出する予定です。コロナ禍で米が余った際、政府は作り過ぎだとして減産に導きました。今度は、足りなくなったら増産させるという話です。どの作物をどれだけ作るかは、本来は農家の自由です。罰金刑をちらつかせて農家を統制するのは、真面目な農家に対して失礼で、憲法上も問題です。

 岸田首相に対し、「罰金刑導入は大きな過ちであり、やめるべきだ」と主張しましたが、「憲法上の経済的自由権にも配慮している」として強行する構えでした。一方で、企業の政治献金について岸田首相は、最高裁の判例を根拠に、憲法で「企業献金の自由」が認められるので禁止できない旨を言い続けています。しかしこの判例は、組織的に犯罪行為を行っている政党に企業が献金すれば違法となりうることを認めています。名だたる大企業が自民党に大口献金していますが、ジャニーズ事務所との契約を打ち切った時と同様、今の自民党への政治献金がコンプライアンス上問題ないのか、真剣に考えるべきです。

 第三に、「庶民は生活費を切り詰めているのに、自民党は政策活動費(略すと政活費)を膨らませている」という生活者の声です。多くの世帯が物価高で生活費を節約した結果、家計の消費額は、下落が続いています。その一方、二階幹事長は総額で50億円以上の政活費を受け取っていますが、岸田首相は、何に使ったかを調査・公開しようとしません。私は政治資金規正法の19条の3という条文を示し、「公開しようと思えばできるはずだ」と迫りましたが、「従来から、使い道は明らかにしない取り扱いだ」と、まったくやる気のない答弁でした。今回の質疑で、岸田政権への国民の信頼はさらに落ち込んだと思います。