25日、裏金問題について、岸田首相が本部長を務める自民党の政治刷新本部が「中間とりまとめ」を公表。これを受け、29日、施政方針演説の前に予算委員会が開かれ、政治資金問題の集中審議を行いました。当日は、自民党の派閥パーティーの売上金の一部が所属議員に裏金として還流し、収支が隠されていた問題に議論が集中しました。これは政治資金規正法に違反する、言語道断の違法行為です。

一方、「中間とりまとめ」で触れられていない問題として、「政策活動費」があります。これは、政党から党幹部に渡される政治資金で、使い道を明らかにする必要がありません。法律上は許されている、いわば「公認の裏金」です。自民党は、その金額が桁違いです。2022年の1年間だけで、党幹部15人に対して14億円以上が支払われ、過去に遡ると、二階俊博・元幹事長には総計50億円以上の「政策活動費」が支払われていました。

これだけの巨額のお金をいったい何に使ったのでしょうか。この点につき、5年前に行われた参議院選挙の広島選挙区で、元法務大臣の河井克行氏とその妻の案里氏が地方議員を買収した罪で有罪となりました。昨年9月には、二階氏の「政策活動費」がその原資になったことを匂わせるメモが発見されたと、地元の「中国新聞」がスクープしています。

この記事を基に、岸田首相に対し、「政策活動費が選挙買収の原資になっていないか調査すべきではないか」と尋ねると、最初は「捜査機関が捜査する」と逃げていましたが、「政治の信頼回復に努めるのであれば、自民党としても調べて報告すべきだ」と迫ると、「党として何かできることがあるか、今一度考えてみたい」と渋々答弁しました。

また、「政策活動費」は、使い残した金額があれば、その年の雑所得として納税義務が生じます。蓄財に回し、脱税している疑いも生じ得ます。岸田首相に対して、「やましいことがなければ、速やかに使い道を公表すべきだ」と要求すると、「政治活動の自由と国民の知る権利とのバランスの中で今の扱いになっている」と消極的な答弁。

そこで、「ちゃんと政治資金を使っているのであれば、『政策活動費』という仕組み自体、要らない。廃止すべきだ」と何度も要請しましたが、壊れたレコードのように「政治活動の自由と国民の知る権利とのバランス」を言い訳にして、廃止を明言しませんでした。

そもそも政治資金は、民主主義の発展に資するためのものです。選挙買収や脱税に使われるなどして、民主主義を損なう可能性がある政治資金なら有害無益です。派閥の違法な裏金はもちろん、「公認の裏金」もなくすよう、岸田首相に厳しく求めていきます。