7日の財務金融委員会では、官民が出資して「金融経済教育推進機構」を設置することなどを含む「金融商品取引法等改正案」が審議されました。金融経済教育は、民間でも行っていますが、公的には「金融広報中央委員会」という組織が中心となり、主として各年代に応じた金融の基本的な知識と判断力を身につけさせる教育を行ってきました。
岸田政権では、「金融広報中央委員会」を「金融経済教育推進機構」に転換し、これまでの教育に加え、資産形成に役立つ知識も授けて「貯蓄から投資へ」を進めようとしています。法案の作成前に行われた政府の「資産所得倍増分科会」という会議では、大学生の出席者から、若者には投資の「元手」がないという切実な意見が述べられていました。
確かにいくら知識があっても「元手」がなければ意味がありません。他方、人生の節目に「元手」があれば、金融経済教育を受けた上で投資をして結婚、出産の備えをしたり、あるいは投資せずに進学や資格取得の費用に充てたりもできます。そこで、少子化対策の観点からも、すべての若者が「元手」を得られる方法を考える必要があります。
一つの解決策として、「異次元の金融緩和」で日本銀行が大量購入した株式投資信託(ETF)を活用することが考えられます。最近の株高で、その総額は時価で50兆円を上回り、含み益は20兆円近くもあります。仮に日銀がこれを購入時の価格、すなわち「簿価」で政府に売却すれば、政府は多額の含み益を使って若者への支援を行うことができます。
この日の質疑で、植田日銀総裁に「日銀が持っているETFを政府に『簿価』で売却することは、法令上許されるのか」と尋ねると、渋々これを認めました。そこで、鈴木財務大臣に対し、「政府が日銀からETFを買い取って、今生まれた赤ちゃんが18歳になった時に、全員に100万円分ずつ給付して、若者を支援したらどうか」と提案。
これだけの給付をしても、巨額のETFを使い果たすまで50年ぐらいは若者支援ができます。加えて、ETFを保有している間は、政府に多額の分配金収入が入ります。これを使って日銀にETFの購入代金を長期分割で支払えば、国民負担も生じません。この提案に対し、鈴木大臣は「日銀の独立性を尊重する観点から、コメントを控える」とし、植田総裁は「ETFの処分について具体的な戦略を論じるにはまだ早い」と残念な答弁。
「異次元の金融緩和」で超低金利を長年続けた結果、国民の利息収入は減り続け、日銀はETFを大量に買って莫大な含み益をため込んできました。岸田首相が「異次元の少子化対策」を掲げるのであれば、国民負担を増やす前に、日銀ETFを有効活用すべきです。