9日、財務金融委員会で岸田首相に質問。直近の世論調査で73%が反対している、「復興特別所得税の防衛財源への流用」などを追及しました。

そもそも復興特別所得税は、東日本大震災の復興に充てるため、本来の所得税に2.1%上乗せし、2037年までの25年間に限って国民が負担するものです。しかし、防衛財源への流用が認められると、復興特別所得税のうち1%分が防衛予算に回ります。国民との約束に反する流用は、被災地の復興への協力意識に水を差し、復興にとってマイナスです。

また、流用の結果、不足する復興のための財源を確保するために2050年頃まで十数年も復興特別所得税を支払う期間が延長されるのです。その間に、南海トラフ地震や首都直下型地震が起きる可能性は高く、100兆円以上の被害が想定されます。現在の若い世代は、復興特別所得税の負担に加え、新たな国民負担を負わなくてはなりません。

「流用」の影響を受ける被災地で地方公聴会を開き、若者の意見も聴くよう岸田首相に求めると「流用にも国民との約束違反にも当たらず負担は軽微だ」と反論。地方公聴会の開催も「国会で決めること」と述べ、自ら被災地や若者の声を聴く気がないことを示しました。

そこで、塚田一郎財務金融委員長に対し、地方公聴会の開催を求めましたが、こちらもやる気がありません。与党側から「流用」を事実上決める「防衛財源確保法案」が可決された後で、地方公聴会に準ずる場を設けたいとする提案がなされると、野党側の反対意見を無視して、審議を打ち切るための委員会の開催を決めました。

地方公聴会の開催は、私だけでなく、複数の議員が求めてきました。塚田委員長の「職権濫用」によって財務金融委員会は紛糾し、塚田委員長の解任決議案が12日の衆院本会議で審議されることになりました。その冒頭で、私から委員長の解任を求める理由を演説。

「復興特別所得税の負担を国民が甘受してきたのは、甚大な被害を受けた被災地の復興のためであり、トマホーク(ミサイル)の爆買いのためではない。25年という期間限定も反故にされている」、「復興特別所得税の流用は明らかであり、二重、三重の意味で国民との約束違反だ」と述べ、「地方公聴会を開催せず、被災地での意見聴取などを行わないまま審議を打ち切ることは極めて問題であり、塚田委員長はその任に値しない」と主張しました。

その後の与野党の討論を経て、結果的には「数の力」で解任決議案は否決され、被災地での地方公聴会も消えました。岸田総理の「聞く力」は失われてしまったようです。