衆議院の財務金融委員会では、「防衛財源確保法案」の審議が続いています。政府与党は連休前の採決を提案しましたが、「財源確保法案」というのは名ばかりで、中身が乏しい法案であるため野党側がこれを拒否。連休をまたいで審議が行われることになりました。

25日の質疑では、民主党政権時代に成立させた東日本大震災の復興財源確保法案と比較し、同じ「財源確保法案」でも今回の内容がいかに不十分であるかを指摘しました。

第一に、「復興」の方は、震災当初から令和7年度までの15年間の復旧・復興事業に必要なおよそ33兆円の財源のうち、「財源確保法」によってすでに27兆円あまりを確保。今後得られる5.5兆円の「復興特別税」などを加えると100%を上回る財源を確保できる見込みです。これに対して「防衛」の方は、令和6年度から令和9年度までの4年間の防衛力強化に必要な15.7兆円の財源のうち、今回の「財源確保法案」が成立しても3.4兆円、22%分しか確保できず、残りの12.3兆円、78%分は確保されません。

第二に、「復興」の方は、十分な財源を確保するために、①復興増税、②特別会計の「埋蔵金」や国有財産の処分などの税外収入、③決算剰余金、④歳出削減といった方法を法案に盛り込みました。これに対して「防衛」の方は、②の税外収入しか法案に盛り込んでいません。

前回の私の質疑で、鈴木財務大臣が「増税で協力をお願いする前提として、政府として最大限の努力をしているということを明確に示す」のが法案の提出理由だ、と繰り返し答弁していたことを取り上げ、「最大限の努力をしているなら、復興の時のように③や④も法案に盛り込むべきではないか」と尋ねると、「③や④を財源とすることも最大限の努力に含むが、閣議決定で手当てしているので法案に盛り込まなくても欠陥ではない」と苦しい答弁。

「復興」の時と異なる理由の説明はなく、同じく閣議決定の対象なのに②だけを盛り込む法案の成立を急ぐ理由も説明できていません。そして、「最大限の努力をしているということを明確に示す」のが法案の提出理由なのに、大臣が「最大限の努力」に含まれるとする③や④を法案で示せないという事実こそ、「欠陥法案」であることを物語っています。

閣議決定では③と④で約6.5兆円、①の増税で3兆円あまりを手当てすることになっています。そうであれば「復興」の時と同じように①~④をすべて盛り込んだ真の意味の「財源確保法案」を国会に出し直すべきです。それができないのなら、防衛力の強化は財源に見合う範囲で優先順位の高いものから行うべきでしょう。借金による防衛力の強化では際限ない軍拡競争に巻き込まれ、いずれ国家財政が破綻を迎えることは歴史が証明しています。