3日から7日にかけ、「OECDグローバル議員ネットワーク会議」に出席するため、OECDの本部があるパリに出張しました。「OECD」は略称で、日本語の正式名称は「経済協力開発機構」です。国際経済全般について協議する「世界最大のシンクタンク」とも呼ばれ、欧州各国や日米など世界38か国が加盟しています。

そのOECDの掲げる政策や活動を各国の議員に知らしめ、協議する場が今回の会議です。コロナ禍によって対面での会議は3年ぶりでしたが、今回は非加盟国を含めて38か国から122名の国会議員が参加。日本からは、私と自民党の小泉龍司代議士、深澤陽一代議士の3名が参加し、「世界経済の見通し」「脱炭素社会に向けた方策」「エネルギー市場の現状」「民主主義の強化」などに関し、それぞれ意見を述べました。

会議の合間には、大地震で甚大な被害を受けたトルコや、北極圏の開発に力を入れているノルウェーの議員団との会談、「仏日友好議員連盟」に所属するフランスの国会議員との会談、OECDの幹部との面談も組まれ、非常に有意義でした。

加えて、岩手県への誘致を目指している「国際リニアコライダー(ILC)」に協力を得るため、個人としての活動もしました。OECD議員会議では出席者に英語版の資料を配布してILCの概要を理解して頂くとともに、6年半前にILCの国際会議でお会いし、岩手にも何度か来られたフランスのオリビエ・ベシュト大臣を訪ね、フランス政府の協力を依頼。

OECD議員会議では、①ILCの「量子を制御する技術」が太陽電池や人工光合成の新材料の開発など、脱炭素社会の実現に貢献すること、②ILCの稼働によって生じる廃熱や近隣の豊富な森林資源を活用することで、ILCの周辺地域を脱炭素社会のモデル地域として世界に発信できること、③世界各国からILCに集まる多くの研究者が協力を重ねることで、対立と分断が進みつつある国際社会に宥和と統合の精神を取り戻すことができることなど、ILCの価値をアピールしました。

その上で、「世界ぜんたいが幸福にならないうちは、個人の幸福はあり得ない」という宮沢賢治の童話に出てくる言葉を引用し、「世界ぜんたいの幸福」につながる日本でのILC実現について、参加者に協力を求めました。会議の後には、韓国や英国の議員から話しかけられ、賛同の言葉を頂きました。

ILCについては、政府間の外交では予算上の制約から日本への誘致のアピールをできていませんが、議員間の外交の場で国際的な理解を深め、誘致実現につなげたいと思います。