20日は、もうすぐ退任する予定の雨宮正佳日銀副総裁、24日は、黒田総裁に代わる日銀総裁候補となった植田和男氏に質疑を行いました。

足掛け45年にわたって日銀に在籍した雨宮副総裁には、2年のはずだった異次元金融緩和を10年続けてもいまだ金融政策を正常化できず、退任して後輩に後を託す心境を尋ねました。雨宮副総裁は、「退任の所感を述べるのは時期尚早」と逃げましたが、金融政策を正常化するには、景気や相場の悪化を避けながら、超低金利を引き上げ、膨大な国債や株式投資信託(ETF)を処分するという、難解な「出口戦略」を実行しなくてはなりません。

私は、バブル崩壊で自分が勤めていた日本長期信用銀行が破綻した際、先輩方の残した「負の遺産」の処理に追われたことを思い出し、「後輩たちがやらなくてはならない出口戦略をどう思うのか」と問い詰めると、「出口戦略を実行する技術はいろいろ対応できるが、出口(=賃金と物価の好循環が始まること)に至ったかどうかの判断が難しい」との答弁。

「バブル崩壊は日銀が判断を誤り、金融緩和を長引かせたことによって起こった。判断が難しいからと言って今後もリスクを膨らませるべきではない。バブルの教訓も踏まえて、金融の正常化に向けて着々とリスクを減らすようなことをすべきではないか」と私から進言しましたが、「どういうリスクがあるか綿密に点検している」「異次元金融緩和を続けることが今の物価情勢を踏まえると適当だ」と、極めて楽観的な答弁でした。

このように日銀を間もなく「去る人」の気楽さに比べ、日銀にこれから「来る人」には悲壮感と緊張感が漂っていました。植田氏への質疑で物価見通しや金融政策の方向性を聞いたところ、「物価は今がピークで今年後半から2%を下回る」「2%の物価安定目標が達成されるまで異次元金融緩和を続ける」と、黒田総裁と同じ型通りの答弁でした。

「なぜ2%という数字にこだわるのか」と尋ねると、「そうなれば金利も上がり、その後景気が悪化した時に金融緩和できる」旨答弁しましたが、金利上昇を目標としつつ、いつまでも超低金利を続けるのは矛盾です。それでも、異次元金融緩和の功罪を検証すること、政治の圧力から独立して金融政策を判断することなどについては、前向きな答弁でした。

今回の質疑などを踏まえ、植田候補の任命に同意するかどうかを党内で判断します。植田候補は、金融の世界では有名な学者です。総務政務官時代、年金運用に関する会議でご一緒しました。「御用学者」と異なり、官僚の台本通りでなく自身の考えを明快に語っていた記憶があります。その姿勢を日銀総裁としても貫けるかどうかが判断のポイントです。