27日、今国会で初めての憲法審査会が開催され、約5分間にわたり意見陳述しました。今回は特定のテーマはなく、憲法に関して自由な発言が認められていました。私は、安倍元首相の銃撃事件の原因となり、国民の政治への信頼を揺るがせている旧統一教会の問題に関し、憲法上の観点から、二つの点について当審査会が早急に調査を行うべき、と述べました。

一つ目は、霊感商法などによる損害の回復のため、家族等が被害の原因となった行為を取り消すことは、被害者本人の財産権(憲法29条)を害するのか、という点です。

確かに、資本主義国である我が国では、財産権の行使は自由で、取引の安全が保護されるのが原則です。しかし、反社会的行為により、本人の意思決定の自由が奪われた状態で財産権が行使された場合は、財産権の自由や取引の安全を考慮する必要はないはずです。現在継続中の旧統一教会の被害救済のための与野党協議を進展させるためにも、憲法審査会で調査を進め、速やかに「統一見解」をまとめるべきです。

二つ目は、旧統一教会系団体のように、外国勢力が日本の政治家と「政策協定」を結び、政策の実現を図ろうとすることは憲法の大原則である国民主権に反しないか、という点です。

憲法は主権が国民にあることを宣言していて(前文、1条)、その結果、外国人の参政権は認められていません。さらに、政治資金規正法は、外国人や、外国人が主たる構成員の団体から政治献金を受けることを禁止しています。日本の政治や選挙が、外国の勢力に影響を受ける事態を防ぐためです。いずれのルールも、自民党が強くこだわってきたものです。

一方、外国勢力と「政策協定」を締結すること自体は、法律で禁止されていません。しかし、選挙での応援という利益を得る見返りに外国勢力の政策実現への協力を約束することは、そのような約束のない政治献金以上に、日本の政治への影響力が強まる危険があります。

国会で岸田首相は、旧統一教会の「政策協定」への署名の有無につき、自民党内の調査はしないと答弁しました。その理由の中で、「ポイントは選挙の支援につながったかどうか」だと繰り返し述べましたが、完全にずれています。「政治家が外国勢力と政策協定を取り交わすこと自体が、憲法の国民主権に抵触するおそれがある」というのが真のポイントです。

立憲民主党はこのポイントを理解しており、すでに党内の全議員について調査中です。自民党総裁でもある岸田首相の認識が誤っている以上、憲法審査会において、旧統一教会との政策協定への署名の有無に関し、全議員に対する「統一調査」を行うべきです。