22日、政府は24年ぶりにドルを売って円を買う「為替介入」を決定。1ドル146円に迫っていた相場が、一時は140円台まで持ち直しました。先々週の私のブログで、24年前と違い、為替介入による円安からの「脱出努力」が見られない旨述べましたが、政府もようやく重い腰を上げました。

しかし、この「脱出努力」が今後も成果を挙げられるかどうかは微妙です。同じ日に、日銀が従来通り、超低金利を継続することを決めたからです。この日は、米国や英国の中央銀行も金利を大幅に引き上げ、スイスの中央銀行はマイナス金利をやめました。その結果、日銀の操作で長期金利が0.25%に釘付けされている日本の円が売られ、長期金利が3.5%程度に上昇した米国のドルを買う動きが強まっています。為替介入がなければ、1ドル146円を超えて円安が進んだところでした。

今回の「超低金利継続」につき、黒田日銀総裁は「当面金利を引き上げることはない」と述べ、為替介入につき、岸田首相は「過度な為替変動には断固として必要な対応を取りたい」と発言しました。日銀は超低金利を維持するために国債市場に介入し、今週だけで利回り0.25%の長期国債を2兆円以上買っています。政府は円安を抑えるために今後も為替市場に介入し、日本が保有する180兆円程度の外貨準備を使ってドルを売ることでしょう。

日銀は円安を進めるアクセルを踏み、政府は円安を止めるブレーキをかけるという矛盾が生じ、その影響で金融市場が歪められていきます。矛盾を解消するために、まずは市場の実勢に合わせて長期金利を徐々に引き上げるべきです。

また、そもそも日銀は、超低金利を継続する理由として2%の物価安定目標を達成していないことを挙げていますが、ここにも矛盾があります。20日に発表された消費者物価の総合指数は前年と比べて3%上昇し、5か月連続で上昇率は2%を上回っています。

この矛盾について、日銀は「賃金が上がっていないので『安定的』な物価上昇ではない」と弁解します。しかし、「物価が上がれば当然賃金も上がる」という理由で、賃金ではなく物価を2%上げることを目標にしてきたはずです。物価が上がっても賃金が上がらないのなら、目標自体が誤りだったと考えるのが筋です。超低金利を継続する理由として賃金低迷を挙げるのは、金融政策が失敗したことの「隠蔽工作」にほかなりません。

失敗した物価目標は、約10年前の政府と日銀の「共同声明」で定められました。「共同声明」を見直し、賃金の上昇を政府と日銀の共通目標とすれば、矛盾は解消されます。