1日、震災復興特別委員会において、新たに就任した平沢復興大臣に質疑を行いました。平沢大臣は「人口減少等の地域課題の解決」を目指すとしています。そこで、被災した市町村への移住者はどうなっているのか尋ねたところ、「各自治体において、それぞれの把握の仕方により目標を定め、数値を把握している」と他人事のような答弁。

実は、同じ質問を3月にも前の復興大臣にしたのですが、その時も答えられませんでした。各自治体が数値を把握しているのなら、それを集計すればいいだけの話です。「やる気がないのではないか」と詰め寄ると、平沢大臣は「大変申し訳ございません」と謝罪した上で、「私の責任で、必ず至急やらせます」と答えました。「移住者をふやすための取組みは一番重要なことだ」と前大臣が国会で答弁していたにもかかわらず、このありさまです。

さらに、被災地では多くのNPOが活動し、移住者や交流人口を増やし、地域のコミュニティを活性化する仕事に取り組んでいます。こうしたNPOが雇用を増やす場合、国の「事業復興型雇用確保事業」を使って、中小企業と同様に人件費の助成が受けられるのか確認したところ、平沢大臣は直ちに答えられず、官僚と相談した上で「NPOは対象外です」と答弁。

担当者から事前に聞いていた話との食い違いを指摘したところ、大臣周辺が慌ただしくなり、何度か審議が中断された後、ようやく「雇用保険の適用される事業所なら対象となる」ことを認めました。同じ復興庁の職員間で復興に関する国の制度の理解が異なるのでは、国会質疑は成り立ちません。復興庁が「復興の司令塔」として設けられた意味もありません。

最後に、平沢大臣が「被災者に寄り添い、地域の実情に応じて、きめ細かい対応をしていく」と国会で述べたことに関し、「ならば復興庁が率先して、職員の被災地に居住し、テレワークを進めていくべきではないか」と提案しました。折しも来年4月から復興庁の出先機関である「復興局」が移転し、岩手県では盛岡市から釜石市に移ります。そして、被災地では区画整理でかさ上げされた場所などに未活用の土地がたくさんあります。コロナ禍で東京一極集中を改め、地方分散型社会にしていこうという国の方針もあります。私の提案を実行すれば、復興庁、被災地、国全体にとってプラスになるはずです。

平沢大臣は「そういったことも今後検討に入れていきたい」と答弁しましたが、この日のやり取りを踏まえると鵜呑みにすることは到底できません。震災から10年近くが過ぎ、福島県を除くと、「震災の風化」ということが言われます。それを食い止める役割を果たすべき復興庁自身が「風化」していると言わざるを得ない状況です。「司令塔」としての機能を被災者に寄り添いながら発揮してもらうよう、復興庁の「復興」にも取り組んでいきます。