森友学園への国有地売却に関する公文書の改ざん・隠ぺい問題について、衆議院調査局が実施した「予備的調査」の報告書が9日にまとまり、財務金融委員会に提出されました。予備的調査とは、衆参両院の国政調査権を補完するため、衆議院の委員会が審査等の前提として行う調査です。政府に対し、資料提出など必要な協力を求めることができます。

今回の予備的調査の中では、公文書の改ざんを上司から命ぜられ、自殺に追い込まれた赤木俊夫さんが生前に作成した改ざんの経緯などを記載したファイルの提出も求めました。ところが財務省は、赤木夫人が国に賠償を求めて3月に提起した訴訟に関わるという理由で、提出を拒否したのです。予備的調査に対し、政府が、刑事訴訟ではなく民事訴訟を理由として資料提出を拒んだのは今回が初めてです。

24日の財務金融委員会で、近藤内閣法制局長官に対し、こうした理由で資料提出の要求を拒むことは許されるのか尋ねたところ、「係属中の事件について裁判所と同様の目的で行われるなど、裁判に不当な影響を及ぼすような国政調査については、要求を拒みうる」との答弁。そこで、麻生財務大臣に対し、国会の行政監視機能にかかわる予備的調査と個人が権利を主張する民事訴訟とでは目的が異なるし、資料を提出しても裁判に不当な影響を及ぼすことはないと指摘し、改めて資料の提出を求めました。

これに対し、麻生大臣は、「森友学園問題の全容は、いまだに明らかになっていません」と、従来の政府見解と違うことを言い出したため審議が紛糾。私から「財務省の内部調査では不十分だったと自ら認めている。第三者委員会で調査をやり直すべきだ」と強く主張しましたが、大臣席の後ろに座っていた官僚が答弁中の大臣に駆け寄って入れ知恵するなどして、麻生大臣は失言をごまかし、資料提出も拒み続けました。

公文書の改ざん・隠ぺい問題を受け、財務省は組織風土の改革に取り組んできました。その一環として、昨年6月に三つの「行動規範」が定められています。一つ目は、「公正と誠実」で、遂行した職務についてしっかりと説明することになっています。二つ目は、「研鑽と挑戦」で、困難に直面しても粘り強く取り組むことになっています。三つ目は、「風通しと柔軟性」で、誤りは躊躇なく正し、良い意見を積極的に取り入れることになっています。

しかし、今回の予備的調査への対応を見る限り、「行動規範」はまったく浸透していません。そもそも財務省のトップである麻生大臣自身、「行動規範」を覚えていないことが今回の質疑で明らかになりました。財務省の隠ぺい体質が変わらないのも当然です。赤木さんの死を無駄にしないためにも、国会の力で真実を明らかにし、財務省の体質を変えていきます。