13日、今臨時国会の最重要法案である入管法等の改正案につき、国民民主党を代表して本会議で質疑を行いました。政府が国会に提出する法案の中で極めて重要な法案は、委員会での審議前に本会議で首相に答弁を求めることができます。今回の法案は人手不足の企業などに大量の外国人労働者を受け入れることを可能とし、日本の文化や社会に大きな影響を及ぼしうる法案であるため、そのような扱いとなりました。

ところが、法案の実態は「骨・皮だけの筋なし法案」と言わざるを得ないお粗末なものでした。というのも本法案は今年6月に閣議決定された、「骨太方針2018」の「新たな外国人材の受入れ」の項目に記載された内容をほとんど変えず、法律の形式に整えただけの手抜き法案です。「骨太」の「骨」を寄せ集め、薄く「皮」をかぶせたような代物です。

しかも、日本に在留する外国人労働者向けに新たに設けられる「特定技能」という資格は、どんな業種で何人程度の外国人に付与されるのか、どの程度の専門性・技能があれば認められるのか、肝心な点が条文上明らかではありません。これでは「特定技能」というより「不特定技能」です。名称と中身が食い違っており「筋」が通りません。

とくに、どんな業種で何人の外国人労働者を受け入れるかについては、安易に外国人の安い労働力に頼らないよう、設備投資などで生産性を向上したり、報酬引上げで国内人材を確保したりする努力をきちんと行っているか審査するべきです。また、この審査が総理のお友達など一部の人間に甘くならないよう、具体的かつ客観的な審査基準を法律に書き込むべきです。この点につき首相の見解を問うと、「審査のやり方は業種ごと時代ごとに違うので法律に定められない」という誠意も説得力も感じられない答弁でした。

さらに、本来の目的から離れて従来から外国人労働者の受入れ手段となっていた技能実習制度については、低賃金、重労働、超過勤務、セクハラ、パワハラなど様々な問題が起きてきました。この日、本会議場には多くの技能実習生が傍聴に訪れていました。私は、「新たな外国人労働者の受入れ制度を開始する前に、総理自ら技能実習生の声を聴くなどして現状を把握するべきではないか」と提案しましたが、首相は答弁を避け、再々質問をすると「所管の省庁が対応すべきこと」と答え、やる気のなさを示しました。

骨・皮だけで筋がないどころか、血も涙も通っていない法案では、国民の不安と不満が高まるだけでなく、将来的には日本側がいくら望んでも外国人の方が日本で働くことを選ばなくなるでしょう。そうした事態を避けるためにも、この法案については、政府案にとらわれず与野党の議員がみんなで知恵を出し合い、よりよい答え、新しい答えを作り出していくべきです。