rps20161218_17010014日、いわゆるカジノ法案は、参議院で民進党など野党4党が反対したものの、若干の修正を経た上で午後8時ころに可決されました。参議院で修正可決された法案は、再び衆議院に差し戻して審議をやり直さなければなりません。しかしながら、この日の夜12時が会期末のため、自民党はカジノ法案を成立させるべく会期延長を提案してきました。

国民の大多数が反対するカジノ法案を通すためだけに国会の会期を延長し、しかも翌日に日露首脳会談を控えていることから、深夜までかかってもこの日のうちに採決しようというのです。日本では、ギャンブル依存症に苦しむ人が536万人もいて(厚労省調べ)、その周囲にいる家族や友人なども苦しんでいます。法案が通って日本に民営の賭博場ができれば、さらにギャンブル依存症患者が増加します。カジノが暴力団や外国人犯罪組織の温床となり、周辺地域の治安・風俗の悪化や青少年への悪影響も懸念されます。

加えて、安倍首相は「カジノの床面積はIR(統合型リゾート施設)の3%のみで、それ以外は劇場やショッピングモールなどで、投資や雇用が生まれる」と党首討論で述べましたが、こうした巨大施設を作れば、ただでさえ人手不足、資材不足で遅れている震災復興の足かせとなります。まさに、国民の不幸を拡大再生産しかねないのがカジノ法案です。

国民の不幸より首相の都合を優先し、強引に法案成立を図る安倍政権に対し、野党4党で内閣不信任案を提出することが決まり、夜10時から衆議院本会議が始まりました。深夜まで現場にいて二つ印象に残ったことがあります。

一つは、安倍首相の態度。内閣不信任案の審議中、全閣僚は発言席の両側にある「ひな壇」に横一列で座ります。発言席のすぐ横が安倍首相の席です。民進党の枝野議員などが不信任の理由を述べている間、安倍首相は発言者を無視して隣の麻生副首相と談笑していました。見かねた議院運営委員会の理事らが何度か注意したようですが、最後まで野党の声に耳を傾ける姿勢はなく、不信任案が否決されると、時間がもったいないというように足早に本会議場を去っていきました。国民の代表から成る国会での拘束は嫌がる反面、翌日のプーチン大統領との会談で2時間半待たされても文句一つ言えない内弁慶ぶりにも呆れました。

もう一つ印象に残ったのは、カジノ法案に賛成する自民党や維新の党の議員の態度です。カジノ法案の採決前に、民進党と共産党だけが反対意見を述べ、賛成の党は誰も意見を述べませんでした。会期を延長してまで成立させようという熱意がありません。逆に、どさくさに紛れて法案を通すことへのやましさを感じているようでした。家庭や地域の破壊につながるカジノの問題点を引き続き追及していきます。