©BSフジ プライムニュース

AIJという投資顧問会社が投資に失敗し、顧客から運用を任された2000億円余りのお金の大半が消えてしまいました。AIJは、単に投資に失敗しただけでなく、失敗した事実を隠し、儲かっているように見せかけ、新規のお客様を獲得するという詐欺的な行為もしていたようです。

AIJの顧客の多くは総合型厚生年金基金。これは、中小企業が同業者同士で年金を運用する基金を作り、金融商品などに投資して元本をなるべく増やし、従業員に企業年金を払っていくものです。今回のAIJ問題では74の基金が被害を被っています。

しかも、企業年金の積立金だけでなく、それぞれの基金が国から預かって運用している公的年金の積立金にも合計で1100億程度の損失が生じたようです。公的年金分の損失は基金に加入する中小企業が分担して穴埋めしなければならず、今後倒産する先も出てくるかもしれません。

なぜこのような問題が生じたのか。理由は大きく三つあると思います。

第1に、高度経済成長やバブル経済で相場が右肩上がりだった頃、厚生労働省が安易に基金の設立を認め、社会保険庁OBなど投資経験に乏しい人が基金に天下りするようになったこと(天下り問題)。

第2に、基金が支払う年金は、加入者の受取額があらかじめ約束されている確定給付型と呼ばれるものであり、約束額を払うために高利回りを狙って危険な運用をせざるを得なかったこと(年金制度の問題)。

第3に、投資顧問業者などが顧客を騙して儲けることを防ぐため、顧客に正確な運用実績を報告させるなどの規制が不十分であったこと(金融監督の問題)。

私も長銀に勤務していた時代に、銀行が保有する時価3兆円の株式の運用を担当したことがあります。証券アナリストの資格も取り、資金運用に関してはそれなりの経験と知識を身に付けたつもりでしたが、狙い通りの運用成果を挙げることは困難でした。

21日のBSフジ「プライムニュースではAIJ問題が取り上げられ民主党でこの問題を検証するワーキングチームの副座長として、私も出演しました。私は上記のような問題点を指摘しつつ、「運用に近道なし」と提言しました。今から15年ほど前に自らの仕事を通じて学んだことです。今頃テレビで語ることになるとは夢にも思いませんでした。

【参考】

  • BSフジ プライムニュースのホームページ
    http://www.bsfuji.tv/primenews/
    3月21日の映像を10日間だけ視聴できます。