29日、内閣委員会で一般質疑を行いました。一般質疑は法案審議と異なり、何をテーマにするかは個々の議員の自由です。私は、岩手県などが復興の目玉事業として国に要望しているILCを取り上げました。

ILCとは、インターナショナル・リニア・コライダーの略で、直訳すると国際線形衝突機。何のことだかよく分かりませんが、見かけは長さ30km以上にも及ぶ直線の地底トンネル。ここで物質の根源である電子と陽電子を超高速で衝突させ、新しい素粒子を発見するなど、新たな物理法則に迫ることを目指します。

類似の施設は、スイスのジュネーブにもありますが、ILCはこれを上回る世界最先端、最大規模の研究施設になります。研究成果は、例えば、レーザーのように皮膚を焼くことなく病巣を直接滅失させる高度ながん治療装置の開発や、原発が生み出す核廃棄物が無害化するまでの期間短縮に役立つと言われています。

このILCの有力候補地として、固く安定した地盤を持つ岩手の北上高地が挙げられており、ここにILCを建設し、研究を続けた場合、周辺には数万人の国際研究都市が生まれ、当初10年間だけで経済効果は5兆円に上るという試算もあります。大変魅力的なプロジェクトですが、巨額の建設費を要するため国主導で行わなければなりません。その場合、関係する官庁は、内閣府、経産省、文科省、厚労省などですが、現時点ではどこも様子見の状況です。

そこで、私は、閣内で最もILCに理解を示す与謝野大臣に、このプロジェクトを推進する理由を尋ねました。与謝野大臣は、

「世界中の人たちが集まる研究所で、世界最先端の研究をすることは、日本にとっても世界人類にとっても意味がある」「達増知事の熱意を全面的に応援したいし、財布のひもの固い財務相を動かすのに私も一役買いたい」

と答弁。

さらに、山口復興担当副大臣には、復興基本法の理念規定や、復興基本原則に、

「復興のための施策の推進により、二十一世紀半ばにおける日本のあるべき姿を目指して行われるべき」「被災した東北の再生のため、技術革新を伴う復旧・復興を目指す。この地に、来たるべき時代をリードする経済社会の可能性を追求する」

とあることを指摘し、復興本部としてもILCを取り上げるべきだと主張。山口副大臣は、

「東北において科学技術の振興を図ることは、被災地の復興のみならず日本全体の再生にとって大事だ」「文科省も交えてしっかり検討させてください」

と答弁。

玄葉国家戦略担当兼科学技術担当大臣にも同様の質問をしましたが、専ら科学技術担当の立場からやや慎重な答弁。私は、「ILCは岩手だけでなく、東北、日本、そして世界のためのプロジェクトだ」ということを強調し、「国家戦略担当として御英断願いたい」と述べ、質疑を終えました。みちのくを世界の先駆けの地にすべく、引き続き政府に働きかけていきます。