24日、財務金融委員会では国際機関への政府出資を増額する法案の審議と、公文書改ざんを命じられた財務省近畿財務局の職員が自殺した問題に関する質疑が行われました。

前者について、来年度予算で政府は、国際金融公社と国際開発協会という組織に対し、合計で4600億円以上もの出資を行うこととしています。一方、新型コロナウィルスの影響で業績が悪化した中小企業への支援として、政府系金融機関である日本政策金融公庫(日本公庫)は無担保・低利ないし実質無利子の特別貸付を開始しています。

しかし、貸付金が焦げ付いた場合に備え、今回政府が日本公庫に出資するのは、わずか579億円です。これは、融資枠の5000億円に対して1割程度です。日本公庫は、貸倒れ損失を警戒して融資の審査に慎重になるでしょう。国内の「コロナ」対策よりも海外への出資を優先し、中小企業の資金繰りに支障を生じさせるのであれば「本末転倒」です。

この件に関し、「国際的な組織に出資するより、もっと優先すべきこととして日本公庫への出資を増やすべきではないか」と麻生大臣に尋ねたところ、「これ以降もまた資金がさらに要る事態になった場合は、私どもの方で対応させていただく」とやや前向きな答弁でした。

また、後者について、自殺した財務省職員の手記が最近週刊誌で公表されました。その中で、平成30年2月に明らかな虚偽答弁を行ったと記されている当時の財務省理財局長は、その後主計局長に栄転しました。この人物に質問するため委員会への出席を求めたところ、「主計局長は財務金融委員会に出席しない慣例がある」との理由で政府与党は頑なに拒否。

「慣例」を守るのなら、その上位にある「法令」は、なおさら守るべきです。公文書の改ざんや廃棄、隠蔽など「法令」に反した疑いのある人物が、「慣例」を盾にとって国会出席を拒むのは、やはり「本末転倒」です。

そして手記の中では、財務省幹部の指示により、公文書の改ざんなどの対応に追われ、心身に支障が生じたことや、最後は自らの命を犠牲にすることで不祥事に関わった責任を取ろうと決断したことなど、職員の苦悩が生々しく語られています。

これに関し、麻生大臣に「職員が自殺に追い込まれた原因と経緯を明らかにするために調査を行い、責任をとるべき人はとる、と約束して欲しい」と迫りましたが、まともに答えませんでした。調査される側が調査しないと言い、責任を感じた部下が死を選んでも、本来責任をとるべき者は平然と居座る。「本末転倒」の極みであり、亡き職員と遺族への冒涜です。