26日、震災復興特別委員会が開かれ、今回の内閣改造で任命された田中和徳復興大臣に初めての質疑。被災地出身ではなく、復興に携わっていた印象が薄い政治家です。就任直後の記者会見で、原発事故の自主避難者について「復興庁は担当の役所ではない」と答えてもいます。復興大臣としての責任感や使命感が本当にあるのか、①復興事業の地元負担の問題と、②台風19号で大きな被害を受けた三陸鉄道の復旧問題を通じ、見極めようと思いました。

まず復興事業の地元負担については、民主党政権下では、国が全額を手当てし、地元の自治体の負担はゼロでした。しかし、安倍政権下で復興の基本方針が変わり、平成28年度以降は高台移転や三陸沿岸道路など基幹的な事業を除いて本来の地方負担分の5%を地元の自治体が負担することになりました。現在、政府では10年の復興期間が終わる2021年3月末以降の新たな基本方針を策定中です。

そこで、新たな基本方針で地元負担をさらに増やすのかどうか田中大臣に尋ねたところ、「期間後も対応が必要な事業を確実に実施できるよう検討する」と繰り返し、明確な答弁を避けました。復興大臣は復興庁の事務を統括する責任者であり、復興庁は内閣直属の組織として内閣官房と同等の権限を有します。国や地方の財政を所管する財務省や総務省より上に位置するわけです。にもかかわらず、地元負担の問題について、自ら責任感を持って見解を示さない田中大臣の姿勢にはがっかりしました。

次に三陸鉄道の復旧については、まず国交省の方から、事業費のうち最終的には国が97.5%手当てし、地元負担は2.5%になる旨の答弁がありました。国交省としては最大限の努力をしてくれたものと理解しますが、震災被害からの復旧の際には、国の復興予算で100%の手当てがありました。

この点に関し、私から「現在の基本方針には、『まちに人が戻る』ことを目指すのみならず、被災地外からも多くの方々が訪問し、あるいは移り住むような、魅力あふれる地域を創造することを目指す、とある。被災地を結ぶ重要な三陸鉄道の復旧については、復興庁が担当し、震災の時と同じく100%国が負担してもよかったのではないか」と尋ねたところ、

「完成した後に水害があってこのような状況になった」とし、「関係省庁と協議をしながら対応していく」との答弁。要は、「工事完成後の災害は復興庁の事業から外れる」ということです。復興庁は被災地からの要望には「ワンストップ対応」することになっていますが、これでは「絵に描いた餅」です。そして、基本方針に掲げた目標を達成しようという使命感も感じられません。責任感も使命感もない田中復興大臣。存在感が乏しいのは必然です。