間もなく新元号が発表されます。これまでは「平成時代最後のXX」という表現をよく見かけましたが、これからは「○○時代最初のXX」という表現に切り替わっていくでしょう。私たちが国会で審議・成立させる法律も同じです。法律が成立して交付されるとき、それぞれ法律番号が付けられます。交付の時期が「平成31年」なら「平成31年法律第□号」となり、元号が変わった後なら「○○元年法律第□号」という具合です。

現在審議されている法案は、公布時期が5月1日の新元号施行日の後となり、新元号による法律番号が付けられる可能性があります。しかし、法律のプロである法務省のエリート官僚たちは、そこまで考えていなかったようです。審議中の民事執行法等改正案の条文では、法律番号を「平成31年法律第□号」とし、法案の略称を「平成31年改正法」としています。元号が変わってから公布された場合、法律に誤った表現が残ってしまうのです。

先月26日の法務委員会で、なぜこのような書きぶりになっているのか尋ねたところ、「提出された年を付すという慣例に従った」と裁判官出身の官僚が答弁しました。国会が始まって以来、政府が法案を提出する際に、新元号の施行時期が分かっていたことはありません。何も考えずに「慣例」に従い、条文の正確性に思いが至らないとは官僚失格です。NHKの某番組ではありませんが「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と叱りたくなります。

この日の質疑では、同じセリフが当てはまる答弁が他にもありました。先月20日、東京家庭裁判所の玄関付近で離婚調停中の夫が妻を刺殺した事件に関して、「裁判所として警備面等で反省すべき点はないのか」と問い質したところ、最高裁長官の代理人は、現場にいた警備員が何をしていたかだけでなく、警備員が職員なのか民間なのかすら把握していない有様。「法の支配」を貫くべき裁判所で殺人事件が起きたのに、まったく危機感が感じられず他人事のようです。怒りを禁じえません。

また、1日から始まる新たな外国人労働者の受入れ制度では、外国人材が大都市圏に流出せず地方に留まるようにすることが重要な課題になっています。法務省は解決策の一つとして、様々な外国人が理解できる言語で情報を受け取れる「一元的相談窓口」を各県に置くとしています。これに関して、「岩手県の相談窓口はどこに置かれるのか」と尋ねると、「把握していない」と法務大臣が答弁。地方自治体に丸投げとは余りに無責任です。

振り返れば、政府与党は今年4月からの新制度のスタートにこだわり、昨年の臨時国会では十分な審議時間も取らずに法案を強行採決しました。その責任も忘れ、「ボーっと生きてる」面々に日本のかじ取りを任せるわけにはいきません。