法務委員会では、外国人労働省を受け入れる新たな在留資格を定める入管法改正案を一刻も早く成立させたい与党に対し、①日本人の雇用や国家財政への影響という観点から外国人労働者の受入れ数は妥当なのか、②新制度の土台となる現在の技能実習制度に改善すべき点はないか、を最低限チェックした上で新制度を考えるべきとする野党との間で意見が対立。

14、15日と異例の長時間にわたり、法務委員会の審議方法を議論する理事懇談会が行われました。結局、政府・与党は①、②をチェックするための資料提出には応じましたが、内容を吟味する前の16日から入管法改正案の審議に入ることを強引に決定。そもそも通常の委員会の審議は、一日に一つの法案の審議をし、採決に至ればその日は終了です。16日もそれで終わるはずでした。

そして、次回の委員会では法案ではなく行政を監視するための一般質疑が行われ、その次の委員会で新たな法案について政府から趣旨の説明があります。これを踏まえて各委員が準備をし、その次の委員会から実質的な審議を始めることになっています。法務委員会は火曜、水曜、金曜が定例日なので、通常のパターンでいけば入管法改正案を法務委員会で審議できるのは27日の火曜日となるはずでした。

与党はこれを16日に全部やりたいというのです。審議の中身は関係なく、会期末の12月10日までに法案を通したい意図が見え見えです。肝心な資料の方も、政府は当初、①については人手不足の数とこれを補うための外国人の受入れ数の14業種別の見込みを何の根拠も示さずに結論だけ表にして提出してきました。当然、与野党の総意で出し直しを命じましたが、これもまた中途半端なものでした。②については理事懇談会で19日に資料が開示されることが決まると、これまで技能実習生の失踪理由について政府が報告してきた内容が虚偽であったと法務省が突然自白し、16日の委員会は途中で打ち切られました。

前国会でも厚労省の裁量労働制に関する虚偽情報開示、財務省の決裁文書改ざん、防衛省のPKO日報隠ぺいなどがあったのに、まったく改まっていません。「無理が通れば道理が引っ込む」と言わんばかりに暴走する安倍政権に、無理を通そうとしたツケが回っています。「無理を通させず、道理を取り戻す」のが、国民の代表として法務委員会で理事を務める私の使命です。国と国民の将来に禍根を残すことのないよう今週も全力を尽くします。