19日、「釜石鵜住居復興スタジアム」の完成イベントに参加しました。東日本大震災の際の大津波で被災した鵜住居小学校と釜石東中学校の跡地に新設された球技場は、来年のラグビーワールドカップ日本大会の開催会場となっています。

甲子園球場や建築中の新国立競技場と異なり、フィールドを取り囲む大きなスタンドはありません。その代わりに、メインスタンドからは高台に移転した小中学校、災害公営住宅などの新たな町並みや大きな津波に備えて作られた防潮堤を一望することができます。バックスタンドからはメインスタンドにかかる美しい白い屋根とその背後の緑で覆われた小山のコントラストが目に鮮やかです。

スタジアムの両サイドは、ワールドカップ本番では仮設スタンドが設けられる予定ですが、普段はスタンドすらなく外部と一体化しています。観客席の椅子も釜石で起きた林野火災の被災木や旧国立競技場から譲り受けたベンチなどを活用して作られています。全体的に派手さはありませんが、周りの風景と調和して開放感があります。

今から3年半前に釜石でのラグビーワールドカップ開催が決まりました。これに関しては、私も予算委員会で取り上げるなど積極的に取り組んできました。国内12か所の開催地を決める際、最大の問題は当時の釜石に国際試合にふさわしいスタジアムがないことでした。開催地を決める委員の視察の際、スタジアム予定地を囲むように地元の人たちが大漁旗を振って迎え入れ、その熱意が決め手になったと聞きました。

ただし、スタジアムを新設することについては、他の復興事業を優先すべきだとかワールドカップ後の維持管理費をどうするのかといった批判や疑問の声があったのは事実です。今回出来上がったスタジアムは、こうした声にも配慮していて、無駄な設備や装飾は排されています。多くの人に愛着を持ってもらえるものと確信しました。

今回のスタジアムの完成により、残る課題は会場への交通の便と宿泊です。会場周辺は道路網が少なく、車やバスの利用は渋滞が予想されます。鉄道でも最寄りの駅から離れており、なかなか大変です。ここは海に近い立地を生かして船を活用すべきかと思います。大型のクルーズ船を活用すれば宿泊先も兼ねることができます。

国内外からワールドカップ観戦で訪れた多くのお客様が上陸する際に、地元の漁師さんたちが大漁旗を振って出迎えたなら大きな感動を呼ぶのではないでしょうか。「釜石鵜住居復興スタジアム」が名実共に「復興のシンボル」となるよう、これからも努力していきます。