11日で、東日本大震災から6年11か月となりました。3.11の1月前の月命日であり、例年であれば震災に関連する報道が増えます。しかし、今年は開幕したばかりの平昌五輪と、建国記念日に絡めた改憲論議の話題に隠れてしまった感があります。

しかし、あの国難は去っていません。全国各地に避難されている方が55,340人(1/16現在)います。震災関連死は3,647人(昨年9月末現在)、震災関連倒産も1,853件(1月末現在)に上り、現在も増え続けています。

国会では先日、被災事業者が抱える借金の負担を軽減する「再生支援機構」の業務期限を延長する法案が成立し、3月までには被災者の無料法律相談の期限を延長する法案が成立する見込みです。しかしながら、「復興が遅れているため延長せざるを得なくなった」ということでもあります。

安倍首相は通常国会冒頭の施政方針演説の中で、「来年の春までに、99%の災害公営住宅の建設、高台移転の工事の98%が完了する見込み」だと自慢げに述べていました。しかし、そもそも災害公営住宅の工事完了は予定より2年ほど遅れています。工事が完了しても、家賃負担への不安や住宅建築費の高騰により、仮設に留まらざるを得ない方も数多くいます。

そればかりか、被災3県から流出した人口の数字を見ると、震災直後に急増した後、復興の進展に伴ってブレーキがかかりつつありましたが、2015年から再び人口減少が加速し、最近発表された昨年の人口減少数は14,000人を超え、震災前の2010年より3,500人も増えています。3.11の国難は、むしろ深刻化しているとも言えます。

昨年の解散総選挙の際、安倍首相が「国難」と称していた北朝鮮問題については、平昌五輪の開会式後のレセプションで、首相自ら北朝鮮の首脳に話しかけていました。安倍首相が常々意味がないとしていた「対話のための対話」にすらならなかったようですが、その姿勢は評価します。今後は、今なお国難に苦しむ被災地の皆さんと積極的に対話すべきです。