9日、衆院本会議では法務委員長の解任決議案が議題となり、その趣旨説明を1時間余り行いました。今国会ではおそらく最も長い演説です。通常の議題はあらかじめ演説時間が指定され、長くても30分程度です。しかし、委員長の解任決議案や閣僚等の不信任案について趣旨説明を行う場合、演説時間に制限を設けないのが国会の通例です。

私の場合、1時間超のうち半分程度はあらかじめ原稿を用意しましたが、残り半分はその場で言葉を選びながらの演説でした。まず「あっちの方」と前復興大臣に軽視された東北の素晴らしさを訴えた上で本題に入り、①解任案提出までの事実経過、②自民党理事の「テロ準備行為」という不規則発言(ヤジ)の問題点、③政府参考人(法務官僚)の違法答弁の問題点、④委員長がこれらの問題を招いた背景にある法務大臣の答弁能力不足、⑤委員長が審議を急ぐ背景にある「共謀罪」法案の危うさとごまかし、⑥自由と安全を両立する民進党のテロ対策法案、⑦「共謀罪に無関心ではいられても無関係ではいられない」という共謀罪の本質の順に演説。最後に、「委員長解任を求める」という結論を述べました。

衆議院の本会議場で、多数の自民党議員から発言妨害としか思えない不規則発言(ヤジ)を浴びながら、自分の言葉で演説を長時間続けることは危険を伴います。国会での発言はすべて議事録として永久に残り、内容に大きな誤りが生じたり、無駄話が多くなったりすれば、議員としての資質が問われることになるからです。

私も後から演説内容を確認しましたが、議事録として後世に残すのに何ら恥じる部分はありません。一方で、国会答弁に何度も行き詰まり、この1月から約70回も審議を中断させ、官僚等の答弁をオウム返しし、質問に的外れな答えを繰り返す金田法務大臣など、最近の安倍政権の閣僚には議事録の重みをわきまえない発言が多いのではないでしょうか。

その最たるものが、8日の衆院予算委員会で長妻議員から憲法改正に関して尋ねられ、安倍首相が「読売新聞を熟読して欲しい」と述べたことです。これは、首相をはじめ閣僚の国会での答弁義務を定めた憲法63条に反すると思います。

読売新聞は民間の一商業新聞に過ぎず、国民の多くは読んでいません。このような答弁が通用するなら、国会の議事録が無意味になります。国民の代表が集まる国会での答弁は、国民がその内容を容易に知り得る形で行わなければ答弁義務を果たしたことにならないはずです。国会での発言を永久に残す議事録の重みを理解せず、憲法に平然と違反する安倍首相に、憲法改正を語る資格はありません。