租税特別措置とは、所得税、法人税などの税金を減免したり、税額の計算方法などの特例を定めたりする一時的な措置をいいます。ガソリン税等の暫定税率も租税特別措置の一種で、自動車ユーザー等に対し、本来よりも税金の負担を重くする措置です。その一方、特定の対象者に対し、本来よりも税金の負担を軽くする措置もたくさんあります。住宅ローン減税などが代表的ですが、ごく一部の人にしか使われていなかったり、減税の意義がはっきりしないものもたくさんあります。

注意しなければならないのは、補助金や給付金と違い、法人税や所得税の減税はもともと税金を払っていない方には恩恵が及ばないということです。つまり、赤字の企業や所得の少ない個人が、かやの外になります。しかも、どのような企業や個人が特別措置を利用しているのか役所もほとんど把握していません。強者のための隠れ給付金と言わざるを得ません。

民主党の租税特別法調査チームでは、各省庁が来年度に新設ないし継続を目指している租税特別措置につき、1件ずつ利用実績やその効果、今後の利用の見込みなどを聞き取り調査し、問題ないかどうかチェックしています。26日の調査に私も参加しましたが、従業員の教育訓練に一定額以上支出した中小企業が支出額に応じて減税を受けられる制度などが議論になりました。従業員の教育訓練は好調の会社よりも不調の会社(=税金を払えない会社)に積極的にやらせるべきですが、この制度では逆の結果を招きかねません。

無意味な租税特別措置を廃止することは、税金の無駄遣いを廃止するのと同様、国の財源を拡大し、国民生活に役立つ分野にお金を振り向けることを可能にします。