rps20151205_2033274日、法務委員会で閉会中審査が行われました。30分という短時間でしたが質疑を行い、法科大学院の志願者激減、司法試験の問題漏洩、マイナンバー悪用の危険、特定秘密保護法の運用状況などを、法務大臣や関係する副大臣に尋ねました。臨時国会が開かれていれば、それぞれ時間をかけて政府に問うべきテーマです。政府与党はいくつかの委員会で1日限りの閉会中審査を行ってお茶を濁していますが、それでは到底足りません。

さて、マイナンバーについては、私のところにも「通知カード」とこれと一体になった「個人番号カード交付申請書」なるものが届きました。「個人番号カード」をもらうには、申請書に写真を貼るなどして返送し、役所から後日届く「交付通知書」記載の期限内に、本人確認できる書類を持って指定場所に取りに行かなくてはなりません。結構な手間です。

担当の松下総務副大臣に「個人番号カードを作るメリット」を尋ねたところ、挙げたのは「私はこういう何々ですということが証明できる」ということだけでした。しかし、身分証明書を欲しい人が「個人番号カード」をもらいに行くのに、本人確認できる書類を持参しろというのは矛盾しています。また、クレジットカードやレンタルビデオ店の会員証などを作る際は身分証明書のコピーを通常取られるので、「個人番号カード」の裏面に記載されたマイナンバーまでコピーされ、悪用される危険があります。岩手で社会保険労務士の皆さんとお話をすると、「業務上、事業主を通じて従業員の方々のマイナンバーを収集するが、これを安全に保管する体制を整えるのに相当な費用がかかる」と苦い表情でした。

そもそも、このマイナンバーは、医療、介護、障害、保育の自己負担分が重くなり過ぎないように、これらの費用を合算した金額がその世帯の所得の一定割合を超える部分を公費負担にする「総合合算制度」の導入を前提としたものです。マイナンバーによって、これまでバラバラに管理されていた、社会保障の各サービスの利用状況を一元的に管理できるようになるからです。

「総合合算制度」を導入すれば、新たな公費負担も生じることになりますが、消費税収の中から4000億円を充てることを民主党政権の下で決めていました。ところが、現在与党内で検討中の「軽減税率」は、消費税を10%に引き上げる際に税率が据え置かれる品目が出るため、その分消費税収が減ります。その穴埋めとして、この4000億円が使われ、「総合合算制度」は見送られる方向です。「軽減税率」で豊かな人にも税率据え置きの恩恵を与えるより、「総合合算制度」で困っている人の負担を減らす方が格差縮小につながり、ムダもありません。国民に手間、ひま、費用をかけさせてマイナンバーを導入する意義も高まります。何のためのマイナンバーなのか。政府は今一度考え直すべきです。