IMG_2745衆議院の法務委員会では、11、16、18日と会社法改正案の質疑が行われ、私も16日に谷垣法務大臣らに質疑を行いました。会社法は、「六法」の一つである商法から分離独立して平成17年に制定されましたが、「会社を取り巻く幅広い利害関係者からの一層の信頼を確保する」ため、民主党政権時の平成22年2月から見直しが進められてきました。

改正内容は多岐にわたり、すべてを紹介することはできませんが、与野党の間の最大の対立点は、株式を上場している会社のうち、資本金が5億円を上回るか負債が200億円を上回る大会社について、社外取締役の選任を法律で義務付けるか否かです。

民主党からは、私が提出者となって社外取締役を最低一人選任することを義務付ける議員立法を提出しています。他方、今回の政府案では選任を義務付けていません。自民党では、昨年の参院選前に発表した総合政策集(Jファイル)で、「上場会社における複数独立取締役選任義務の明確化」をうたっていました。

谷垣大臣に公約違反ではないかと質したところ、改正案を検討する法制審議会で「コンセンサス(合意)が得られなかった」ので見送ったという答弁でした。しかし、Jファイルが公表されたのは法制審議会の議論が終わった後です。まったく理由になっていません。

政府案では、社外取締役の義務付けに代えて、社外取締役を選任しないときは、株主総会で「社外取締役を置くことが相当でない理由」を説明しなければならないとしています。しかし、「置くことが相当でない」とは具体的にどういう場合を指すのか、明快な答弁はありませんでした。これでは、説明が適切かどうかで株主総会が混乱する危険もあり、社外取締役の選任を義務付けた方が、よほど分かりやすく、混乱も防げます。

もっとも、盛岡など地方の上場会社では、社外取締役にふさわしい人材を探すのが大変だという意見もあります。しかし、これまで上場会社は、社外取締役を置かない場合でも社外監査役を最低二人置く義務を負っていました。今回の改正では、社外取締役が最低二人入った監査等委員会を設ければ社外監査役は不要としています。つまり、社外監査役だった方を社外取締役に横滑りさせれば新たに人材を探す必要はないのです。

この点を大臣に指摘すると、社外監査役は検察官出身でも務まるが社外取締役としてはどうなのかとの答弁。言われてみると、政府案を作った法務省は検察官を多数抱えています。社外監査役という「天下りポスト」を持つ法務省にとって、社外取締役の義務化による社外監査役の減少は自己の利益に反し、公正な立法は期待できません。法務省にこそ、「社外取締役」が必要です。