IMG_253819日、民主党の震災復旧・復興推進本部の会議が開かれ、私から、県や市町村が復興事業用地を取得ないし使用するための特別措置を盛り込んだ議員立法につき提案しました。

現在の法制度では、県や市町村が高台移転や防潮堤建設のために必要な土地を取得しようとする場合、時間と手間がかかります。土地の権利者を調べ、連絡をとり、交渉して同意を得る必要があります。同意拒否や行方不明の方がいれば、収用委員会に申請をして取得を認めてもらい、補償金を払ってはじめて土地を取得することができるのです。

このような手続きが設けられているのは、行政が私人所有の土地を取得するためには、土地の所有者に憲法上与えられている財産権や行政手続きに異議を申し立てる権利を侵害しないようにしなければならないとされるからです。

平時の公共事業であればこうした丁寧な手続きを踏む必要があるでしょうが、復興事業は事情が違います。震災から3年が経過してもなお、狭い仮設住宅で不便な暮らしをしている方は、憲法で認められている生存権、すなわち「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」が侵害されていると言えます。

現に侵害されている生存権と、侵害されるかもしれない財産権や異議申し立て権のどちらを優先するかが問われていますが、これまでの政府の立場は、後者を重視して現在の法制度を変える必要がないというものでした。

しかし、政府の考え方は、取得する土地や権利者の膨大さ・複雑さに対して事務を行う職員があまりに少ない沿岸の被災地の実情を度外視しており、復興事業の遅れに拍車をかけることになります。私は、国会で根本復興大臣に繰り返し特別法の制定を要請するのと並行して、こうした問題に取り組む弁護士の力も借りて議員立法の作業も続けてきました。

新たに用地委員会という組織を作り、土地を取得、使用しようとする県や市町村は、あらかじめ妥当な金額を納めて委員会の許可を得ることにより復興事業のための工事に着手できるようにする立法です。かなり大部な法案のため立案に時間がかかりましたが、ようやく今回の会議で提案にこぎつけ、了承を得ることができました。

生活の党でも同じ問題意識から法案を用意され、与党側でも同様の法案を準備していると聞きます。政府が動かなければ国会が力を合わせて法案を通し、復興を前進させなくてはなりません。