もし私が身長156センチだったら、大学まで野球を続けることはなかったと思います。投げるにも打つにもパワーが要求される硬式野球において、体格が小さいことはハンデになります。しかし、夏の甲子園でベスト4になった花巻東の千葉翔太選手は、体格のハンデを強みに変えて大活躍しました。

身長が低くストライクゾーンが狭い分、相手投手はストライクを投げづらくなります。ストライクを投げても千葉選手は打てる球が来るまでファールで粘ります。根負けした相手投手は、甘い球を投げて打たれるか四球で歩かせるか。どちらにしても、2番バッターで俊足の千葉選手が塁に出て中軸に打順が回り、花巻東の得点チャンスとなります。

このファールで粘る打法が、高校野球で禁じられる「カット打法」にあたるとして、高野連は試合中ではなく試合後、しかも3試合を経た後で止めさせました。あの技術を身に付ける大変さは野球をやった人なら誰でも分かります。高校野球を「教育の一環」と捉える高野連であるなら、懸命な努力でハンデを強みに変えた千葉選手に対し、不透明なやり方で活躍の場を奪うべきではなかったと思います。

もう一つ、ハンデが強みとなったのは、23日、ILC(国際リニアコライダー)の国内候補地が岩手の北上山地に決まったことです。1月以来、福岡、佐賀にまたがる脊振山地といずれが候補地にふさわしいか専門家の間で議論されてきました。素粒子を加速、衝突させるために30キロから50キロという地下トンネルを長期にわたり維持する必要があること、世界の多数の研究者が家族帯同で居住する国際研究都市が必要となることから、地質の安定性と居住等の利便性がポイントとなります。当初から北上山地は地質で優るが、アジアの玄関口たる福岡を抱える脊振山地に比べて利便性で劣ると見られてきました。

しかし、今回の評価では、利便性が低い地域は、その分、用地取得コストや居住コストも低額となるため、ILC立地に好都合な面もあるとのことでした。都市化が遅れているというハンデが将来の開発がしやすいという強みになったようです。

民主党岩手県連も離党者が相次ぎ、一時に比べると小所帯になりました。政党にとって人数が少ないことはハンデですが、先日の豪雨災害の時のように、いざという時に迅速に意思決定し、即座に行動できるという強みもあります。この強みを生かし、着実に成果を上げていけば、再び同志が集う時が来るはずです。私自身も、県連代表という立場を離れ、より自由な立場で精力的に活動し、党勢回復に努めます。