5日、東北新幹線に「はやぶさ」がデビュー。東京と青森の間を約3時間で結びます。「はやぶさ」と聞いて思い出すのは、あの小惑星探査機。こちらは往復6億キロ、7年間の旅。しかも線路がない宇宙空間ですが、小惑星「イトカワ」地表の粒子を採取し、昨年夏に戻ってきました。
燃料全漏の際には、太陽エネルギーを利用するために「はやぶさ」の姿勢を変えたり、2台のエンジンが寿命を迎えた際には、1台に統合して運転を再開したり、トラブルを乗り越えながら、見事目的を果たしました。大きな仕事、複雑な仕事には、失敗やトラブルが付きものです。成功の鍵は、問題と真剣に向き合い、なるべく早く軌道修正を図ることです。
ただし、軌道修正には現場から離れた冷静な視点が必要です。それを示すのが、厚労省と検察庁が現在直面している問題です。
厚労省では、「年金切り替え忘れ問題」が国会でも大きく取り上げられました。昭和61年から夫が共済年金や厚生年金に加入している場合、専業主婦は基礎年金の保険料を払う必要がなくなりましたが、夫が転職などして国民年金に加入すると、専業主婦であっても保険料を納めなくてはなりません。
しかし、役所の指導不徹底などもあり、この切り替えを忘れた方が全国で100万人にも上るそうです。ルール上は、切り替えるべき時点から保険料未納となり、年金額が減ったり、年金がもらえなかったりすることになりますが、過去には役所側が未納を見過ごしたまま年金を払ったこともあるようです。
そこで、今年から厚労省は、切り替えを忘れた方のうち、今後年金支給を申請する分については、過去2年分の保険料を追納すれば切り替えを忘れていた全期間につき年金をもらえるようにしました。
この対応について、総務省の年金業務監視委員会は、きちんと切り替えてまじめに保険料を払ってきた人達との間で不公平が生じるとして異議を唱えました。現在新たな救済制度は停止され、よりよい解決策を探って細川厚労大臣と片山総務大臣との間で協議が進められています。
保険料を払わない方が得をするのでは年金制度の信頼が揺らぎかねません。私が政務官の時に立ち上げた年金業務監視委員会の活躍で、軌道修正が図られることになりました。
一方の検察庁。昨年の村木さん冤罪事件の際に特捜部の違法、ずさんな取調べが明るみに出て、現在組織の信頼回復に取り組んでいます。しかし、最高検察庁が公表した「取調べの可視化」の指針では、いかなる事件のどの場面を録音、録画するかについて検察の判断が優先することになっています。
これでは、特捜部にとって都合の悪い場面はカットされ、取調べの適正化や信頼回復につながりません。村木さんは、「検察の在り方検討会議」において、「検察は軌道修正できない組織と実感した」と語りました。まさしくその通りであり、自力で軌道修正できない検察は、目的を見失って暗闇をさまよい続けているように見えます。