11日、補正予算案が衆議院を通過しました。この補正予算案は、①経済対策の規模が大き過ぎて需要に供給が追い付かず物価高を加速させる、②財政規律を度外視した赤字国債の大量発行で円が売られ円安による物価高が深刻化する、といった根本的な懸念があることは以前にも指摘しました。さらに、予算案の具体的な中身についても問題があります。

その一つが、予算委員会で高市首相が「農水大臣が大好き」と語った「お米券」です。これを支給する側の市町村も、支給される側の住民も混乱しそうです。まず、「お米券」はすでに2社が発行、販売しています。1枚の価格が500円ですが、手数料12%を差し引かれて440円分のお米と引き換えられます。有効期限はなく、いつでも利用可能です。

今回の補正予算案では、重点支援地方交付金2兆円のうち4千億円が「食料品の物価高騰に対する特別加算」枠とされます。岩手県内にも総額で27億円程度が支給されます。各市町村は、この財源を使って住民に「お米券」を支給できます。ただ、市販の「お米券」を使うと手数料分が無駄になります。また、市販の「お米券」が来年10月以降に使われ、発行業者が販売店から換金を求められた場合、上記の財源は使えません。自腹で換金するのを避けたい発行業者は、急きょ来年9月末を使用期限とする「お米券」を発行するとのこと。発行業者も大変ですが、2種類の「お米券」が出回るとなると、利用者が混乱しそうです。

一方で、市町村はこの財源を使って、現金を支給することも可能です。こちらは、発行業者への手数料も有効期限もなく、過去に例もあるため、関係者の混乱は少なくなります。ただし、現金であれば何にでも使え、貯蓄に回すこともできます。それが認められるのなら、今回の「食料品の物価高騰に対する特別加算」枠は、市町村の判断により、水道料金の割引の財源にしたり、無期限の「お米券」を使った場合の財源にしたりしてもよさそうです。

立憲民主党の岡田華子代議士からのこうした問題提起に、鈴木農水大臣や黄川田国務大臣は、あいまいな答弁でした。昨夏から続いた「米騒動」は、米の供給が増えてきたため、次第に落ち着きつつあります。しかし、今度は「お米券騒動」です。その原因として考えられるのは、石破政権から高市政権に代わり、米政策が一変したことです。

米を増産して価格が下がれば農家に所得補償をすればよい、という方針から、米は需要に合わせて生産すべき、という方針に変わり、米価が高止まりする不安、不満が消費者に高まってきました。その矛先をかわすための安易な手段が「お米券」です。「お米券騒動」は一過性かもしれませんが、「米政策騒動」は、自民党政権下で長年繰り返されてきました。政権が根本的に変わらない限り、永久に「米政策騒動」が続くことでしょう。