米国は、世界最大の経済力と軍事力を持ち、世界中に兵士を駐留させ、国際秩序を維持する役割を担ってきたため、「世界の警察官」と呼ばれてきました。日本もその力を頼りにしてきましたが、最近の米国は、「世界の警察官」にふさわしくない振る舞いが目立ちます。

第一に、この「警察官」は気まぐれで、職務を忠実に果たすかどうか分からなくなっています。トランプ政権になってウクライナへの支援が後退したように、米国の軍事的関心は欧州より中東やアジアに移りつつあります。ロシアと隣り合う欧州各国には死活問題です。

それゆえ、25日の北大西洋条約機構(NATO)首脳会議では、欧州の加盟国が今後10年で国防関連予算の国内総生産(GDP)に占める割合を従来の「2%以上」から「5%」に引き上げることを決定。欧州の有事の際に米国が出動する確約をつなぎ止めました。

日米同盟でも、米国は同じ取引(ディール)を狙っているようです。岸田政権で令和9年度に防衛費を2%にすることを決めましたが、これに必要な財源と要員を十分に確保できていません。もし5%まで引き上げると、さらに20兆円近くの財源と、莫大な防衛装備を運用する隊員が必要となります。赤字財政と人口減少が続く日本にその余裕はありません。

第二に、この「警察官」は時に、国際法を無視するかのような強引な行動を取ります。22日、米国の最新鋭爆撃機7機が突如イランの上空に侵入し、3か所の核施設を攻撃しました。すでにイランと戦闘状態にあったイスラエルを支援するためですが、国際法で許される「自衛のための戦争」には当たらないように思います。

国際法に反するか否かについて、政府は「事実関係が不明なので、評価できない」旨を述べていますが、ロシアのウクライナ侵攻については、国際法違反だと明確に非難してきました。米国の機嫌を損ねたくないのでしょうが、ご都合主義で矛盾しています。

今回は、幸いにも米国へのイランの反撃は小規模に留まり、イスラエルとイランも停戦となりましたが、米国の攻撃が国際法上問題なかったかどうかはきちんと検証し、政府見解を示すべきです。そうでなければ、日本が近隣の「ならず者国家」に対し、「力による現状変更は許されない」と主張する資格が疑われ、日本の安全保障にとって大きなマイナスです。

22日に終了した通常国会では、予算委員会と財務金融委員会を中心に18回の質問、答弁等に立ち、9本の議員立法を提出しました。引き続き、物価高など当面の課題解決に取り組むと共に、混迷する国際社会において日本の地位と国益を守ることにも力を注ぎます。