会期末の衆議院で大きな動きがありました。立憲民主党など野党7党が共同提出したガソリンの暫定税率(25円/ℓ)を廃止する法案について、野党側からの再三の要請にもかかわらず財務金融委員会で審議を行わなかったとして、自民党の井林辰憲委員長が18日の本会議で解任されたのです。衆院の常任委員長の解任は、憲政史上初のことです。

突然の政局のようにも思われますが、ここに至るまでに、税制をめぐる与野党の政策議論の積み重ねがありました。今年2月、立憲は政府与党の税制改正案に対し、ガソリン等の暫定税率のような不合理な税負担をなくすと共に、金融所得課税の累進化など負担能力に見合った課税を行うための修正案を提出。その後、国民民主党がすでに与党と合意していた暫定税率の廃止については、同党と共同で改めて修正案を提出しました。

修正案は3月に僅差で否決されましたが、委員会の附帯決議では、政府に対し、①暫定税率の廃止に向けた検討を速やかに行うこと、②廃止で生じる事業者の混乱や負担を防ぐこと、③国や地方に生じる収入減を補う安定的な財源を確保すること、などを盛り込むことができました。その後、日本維新の会も与党との間で暫定税率の廃止を協議してきました。

にもかかわらず、政府与党は一向に暫定税率を廃止しようとしません。中東情勢の悪化で原油価格の急騰もあり得ます。政府与党の無為無策を許さないため、野党の力で井林委員長を解任し、新たに立憲の阿久津幸彦代議士を委員長に選任しました。与党議員は野党に対し、「熟議の国会を自ら破壊する暴挙だ」と批判しましたが、野党は暫定税率廃止に向けて与党と議論を重ねてきました。この批判は、政府与党の怠慢にこそ向けられるべきです。

一方、会期末になって、一部の野党議員は立憲の野田代表が先頭に立って内閣不信任案を提出すべきと息巻いていましたが、これには首を傾げざるを得ません。仮に石破政権を退陣させて野党が政権を握ったとしても、今の状態では暫定税率廃止以外に、どんな政策が実現できるか見通せないからです。消費税の負担軽減策についても、一部の野党は消費税を廃止して、赤字国債を発行すればいいと主張しますが、格差の拡大と財政の悪化を招くだけです。

立憲民主党では、将来的に、中低所得者の消費税負担をなるべく減らし、高所得者には社会保障のために消費税を負担して頂こうという「給付付き税額控除」の実現を目指しています。私は、その具体策を検討するプロジェクトチームの座長です。19日にその中間報告をまとめましたが、給付の対象者や金額をどうするか、高所得者の負担や財源をどうするかなど、今後詰めなくてはならない課題がいくつかあります。他の野党もまとまり、国民の納得と信頼を得られる政策なくして、政局はありえません。