16日、政府はガソリン価格を引き下げるための石油元売り会社への補助金を縮小。これにより、全国的にガソリンや灯油の価格が上昇してきます。先月発表された消費者物価指数は前年比で3%近い上昇率でした。円安が続く限り、今後さらに上昇しそうです。
その円安をもたらしてきた日本銀行の金融政策について、昨年暮れに日銀は「金融政策の多角的レビュー」と銘打った約200ページにもわたる検証報告書を公表しました。金融政策に関する日銀の文章は、複雑で分かりにくいため、「日銀文学」と批判されてきました。今回の「レビュー」でも、肝心なところがあいまいで分かりづらくなっています。
例えば、黒田・前総裁の「異次元の金融緩和」の評価について、「当初想定したほどの物価上押し効果は発揮しなかった」としつつ、その理由は「賃金や物価が上がりにくいことを前提とした(世の中の)慣行や考え方」を変えるのが困難だったからとしています。しかし、そのような慣行、考え方を変えるための「異次元の金融緩和」だったはずです。変えられなかったのなら「効果はなかった」として、潔く失敗を認めるべきです。
また、日銀が目標としてきた物価上昇率2%を超えて3年近く経ちます。にもかかわらず今も2%の物価上昇を目標とする理由として、「その時々の物価上昇率の実績だけでなく、物価変動を規定する諸要因を見極め、物価の基調を捉えていくことが重要」とか、「賃金上昇を伴う形で、物価が緩やかに上昇する状況を実現することが重要」などと述べています。2%の物価目標に執着しながら、2%という数字にこだわらない姿勢は矛盾しています。
この分かりにくさを読み解くには、日銀を病院、日本経済を患者に例えるのがいいように思います。金融政策を正常化する必要性と重要性を実感して頂けると幸いです。
① 難病(デフレ)にかかった患者に対し、25年ほど前から病院では新たな治療方法を試してきた。ただし、副作用を恐れて投薬を控えめにしたので、病状は一進一退。
② 12年前に就任した院長は、「必ず2年で治す」「そのためにやれることは何でもやる」と言って大量の新薬を用いた。しかし、2年で治るどころか、かえって悪化した。
③ 医療ミスの責任追及を逃れるため、院長は「治療が成功しなかったのは患者の体質のせいだ」と言い訳をし、痛み止めの注射を打ち続けた。
④ ようやく2年前に院長が交代して治療方針も変更。検査の数値が良くなった患者は、治療費(円安物価高)が大変なので、早く退院したいと考えている。
⑤しかし、病院側は自らの経営とスポンサー(政府)の利益を考え、まだ完治していないと説明。そのため、患者は高額な治療費を払わされ続け、生活が苦しくなっている。