17日、盛岡市出身のメジャーリーガー、菊池雄星投手が創った屋内野球施設「キング・オブ・ザ・ヒル(KOH)」が花巻市にオープンしました。野球に限らず、最新鋭の機器を使った科学的なトレーニングができるほか、おしゃれなカフェやイベント会場などがあります。メジャーリーガーのユニフォームやサインボールなど貴重な品々も展示されています。

私は、前日に行われた「落成記念レセプション」に出席し、菊池投手や恩師である花巻東高校の佐々木洋監督から貴重なお話を聴くことができました。菊池投手は、高校時代から岩手の野球界の常識を変える活躍をしてきました。彼がいなければ、大谷翔平選手をはじめ、岩手から次々と素晴らしい野球選手が生まれることはなかったかもしれません。

佐々木監督は、「あなたの能力の限界は、あなたの思考が設けた境界線であり、あなたが自ら築いた壁である」という英国の作家の言葉を菊池投手に贈りました。自分で「壁」を作らない限り、人間の能力に限界はないことを、菊池投手が身をもって示してきたのです。

国政では、連日「年収の壁」が議論されています。国民民主党案は、103万円の壁を178万円に引き上げ、約8兆円の減税を目指します。しかし、パート主婦の「社会保険料を負担する130万円の壁があるので、働き控えせざるを得ない」という声や、地方自治体の「税収が減って行政事務ができなくなる」という声には「壁」を作っているように見えます。

厚生労働省の案は、106万円の壁を壊し、企業の規模を問わず、週に20時間以上勤務する方をすべて厚生年金に加入させようとするものです。こちらは、中小零細企業の経営者からの「物価高と最低賃金の上昇に加え、雇い主の社会保険料負担が急増し、経営できなくなる」という声に「壁」を作り、公的年金制度を守ることしか頭にないようです。

これに対し、立憲民主党の130万円の壁の解決策は、「壁」を設けることなく、各方面の声を取り入れた案です。第一に、パート主婦の声に応え、130万円の壁を超えて配偶者の扶養から外れても、国民年金や国民健康保険の負担で手取りが落ち込まないよう、手取りを右肩上がりにする給付金制度を設けます。第二に、地方自治体の声に応え、給付金の対象を年収200万円以下の方に限ると共に、年収が上がれば支給額を減らすことで、必要な財源を8千億円程度に留めて地方の行政に悪影響が出ないようにします。第三に、中小零細企業の経営者の声に応え、従来同様、週30時間以上働ける社員に限って厚生年金に加入することとして、雇い主の社会保険料負担が急増しないようにしています。

「年収の壁」対策も、立案者が自ら壁を作らない方が、よい効果を得られそうです。