29、1日と衆議院で15年ぶりの「政治倫理審査会」が開かれました。いわば「裏金」を表沙汰にする会議です。しかし自民党は非公開にこだわり、実態をごまかそうとしました。岸田首相が出席を決め、ようやく開催されたものの、首相から目新しい発言はなく、まやかしのパフォーマンスでした。他に4人の安倍派、二階派の中心議員も出席しましたが、自らの進退や裏金の納税をどうするかなど肝心のところは、ほったらかしでした。

「ごまかし、まやかし、ほったらかし」は裏金問題だけでなく、岸田政権の「歳出改革」にもあてはまります。「歳出改革」とは、国の予算を組む時に、何らかの努力をすることにより、努力しない場合よりも毎年の増加額を減らすことを意味します。つまり、歳出改革は予算の増加額を抑えることで、予算額を減らすものではありません。

その上で、「ごまかし」となるのは、「少子化対策」の財源を生むための「歳出改革」です。岸田政権は、社会保障の予算につき2028年度まで毎年1800億円ずつ「歳出改革」を続けることで、合計1.1兆円の財源を作ると言います。新たな歳出改革を始めるようにも聞こえますが、実際にはこれまでやってきたことを続けるだけのことです。国民から新たな「支援金」を集めるため、政府も努力している姿をアピールしたいのかもしれません。しかし、「歳出改革」の実体はなく、「ごまかし」だと言わざるを得ません。

次に「まやかし」は、「防衛費拡大」の財源を生むための「歳出改革」です。2027年度までの毎年、社会保障以外の予算の増加を物価上昇の範囲内に抑え、そこからさらに2000億円削るとしています。一見厳しい目標に見えますが、最近の物価上昇により、予算増加を物価上昇の範囲内に抑えても、昨年より1600億円の増加となります。なので、予算を横ばいにすれば、それだけで1600億円削ったことになり、あと400億円削れば目標達成です。物価上昇で水増しされた「歳出改革」は、「まやかし」に過ぎません。

最後の「ほったらかし」は、財政健全化のための「歳出改革」です。政府は、2025年度に1.3兆円程度の「歳出改革」をすれば、借金の元利返済分を除く国と地方の支出について、税金等の収入だけで賄える状態を達成できるとの見通しを示しています。しかし、「歳出改革」で支出の伸びがどれだけ抑えられたのかは、後にならないと分かりません。「歳出改革」の効果を確かめる方法がないため、「ほったらかし」となるのです。

自分の派閥の支出も管理できない岸田首相に「歳出改革」はできません。28日の財務金融委員会で以上の問題点を指摘し、財政健全化のための予算表示の変更を提案すると、鈴木財務大臣から「有力なご意見」との答弁。財政健全化のためにも、政権交代は必須です。