1日から4日まで、今年で46回目の「盛岡さんさ踊り」が盛岡市の中央通りをメイン会場として開催されました。私も見学しましたが、好天に恵まれたことに加え、コロナ禍による中止と縮小開催が3年間続いた後の大きなイベントとなったせいか、多くの参加者と観客でにぎわい、大いに盛り上がった4日間でした。
観客の中には、外国人の姿もかなり見かけました。「今年初めに『ニューヨーク・タイムズ』が世界で行くべき場所の2番目に取り上げた効果が表れた」と思ったのですが、最近の「インバウンド観光」に関する統計で意外な数字を目にしました。今年5月の「外国人の延べ宿泊者数」をコロナ前の2019年5月と比較すると、全国では約10%の減少となっていますが、岩手県では47%減少と回復が遅れているのです。
その理由は、第一に、中国政府は団体での訪日旅行を今も認めておらず、中国人観光客が全国でコロナ前の4分の1程度に激減していることです。岩手の場合は、以前は上海と花巻の定期航空便があって中国人観光客が多く訪れていましたが、コロナ後に中止されたことも響いています。他の地方空港では定期便が再開したところもあり、岩手も乗り遅れないようにしなくてはなりません。
第二の理由としては、東京都ではコロナ前より36%も外国人観光客が増えていますが、その恩恵が地方に行き渡っていないということです。コロナ前に政府は2020年に地方での「外国人の延べ宿泊者数」を7千万人とする計画を立てていましたが、ピークの2019年でも4千3百万人と、目標の6割程度しか達成できていません。
東京を含む関東地方では、滞在中に100万円以上を消費する欧米やオーストラリアなどからの外国人観光客も多く、そこで使うお金(コロナ前)は平均で87万円にも上ります。一方、そのような客層が東北地方で使うお金は、平均でわずか5万円です。これではインバウンド観光によって、都市と地方の経済格差がますます広がってしまいます。
問題解決のカギは、「盛岡さんさ踊り」のような大きなイベントをきっかけにして、外国人観光客に注目してもらい、地域の魅力を味わってもらって、反復・継続的に滞在してもらえるようにすることにあります。
観光庁も、消費額が大きい外国人観光客がより多く地方に来てもらえるようにするため、今年3月に「八幡平」など全国で11か所の観光地を選び、集中的に支援を行うことにしました。イベントのにぎわいを、インバウンドのなりわいにつなげる好機到来です。