11日で東日本大震災から丸12年となりました。コロナ禍で中止になった年を除き、岩手県沿岸の市町村で行われる追悼式に毎年参列してきました。今年は、久慈市の「復興祈念式」に参列し、終了後は遠藤譲一市長のご案内で海沿いの住宅地にある「避難タワー」を視察しました。屋上までの高さは約9メートルですが、完成後に国と県が公表した「日本海溝地震」で予想される津波の高さはこれを上回るものでした。震災の記憶と教訓を生かし、万全の避難体制を作るために国の支援は不可欠だと実感しました。

一方、久慈市と言えば、2013年の朝のテレビ小説「あまちゃん」の舞台として全国的に有名です。アイドルを目指した主人公とその友人が「北三陸鉄道」のお座敷列車でコンサートを開き、被災地を盛り上げていた場面が印象的です。現在、実際の三陸鉄道は、久慈市から大船渡市までの岩手県沿岸の南北約163キロを結んでおり、途中の宮古市では盛岡市と結ぶJR山田線、釜石市では花巻市と結ぶJR釜石線とつながっています。

しかし、昨年7月にJR東日本は、この二つの路線を含め、「輸送密度」が一日あたり2千人を下回る35の路線を公表しました。「輸送密度」とは、乗客数にそれぞれの移動距離を掛け合わせた「輸送量」を、その路線の営業距離で割った数値です。「輸送密度」が低いと、BRT(線路を舗装した専用軌道などを走るバス)や路線バスへの転換など、再構築に向けた協議が進められる可能性があります。

ただし、「輸送密度」は営業距離が長いほど低い数値になりがちです。例えば、コロナ前の2018年度、山田線の「輸送密度」は1日あたり約200人ですが、営業距離は約100キロのため、「輸送量」は1日あたり約2万人・キロでした。しかも、営業距離が長い場合、利用者を大幅に増やさなくても移動距離が長くなれば数値は改善します。人口減少地域では、「輸送密度」より「輸送量」の動向を目安にして、再構築の議論をすべきです。

14日の復興特別委員会で、私は、「輸送量に着目することで、客数だけでなく移動距離も伸ばそうという意識になり、沿線の自治体が協力して観光客をどんどん引っ張ってくる発想になるのではないか」と渡辺復興大臣に質問。

大臣は、「とくに沿岸と内陸を結ぶ交通ネットワークは復興に必要な重要インフラだと感じる」「地域公共交通の確保は、ご指摘のとおり、交流人口の拡大や地域経済の活性化などにとって大変重要と認識しており、関係省庁と連携しながら、被災地の復興に全力で取り組む」と答弁しました。鉄道の重要性は、誰しも理解しています。鉄道を復興にどう生かすかを具体的に考え、行動に移すことが、存続のカギです。