安倍元首相銃撃事件の山上容疑者の母親が「統一教会」(正式名は「世界基督教統一神霊協会」)に多額の献金をしたことが報じられて以来、「全国統一教会被害者家族の会」に寄せられる相談が急増し、今年の7月は前月の12倍にもなりました。
ただし、「統一教会」という宗教団体は今では存在しません。2015年以降は「世界平和統一家庭連合」に名前を変えて活動しています。これまで両者が同じ団体とは知らず相談できなかった人が、報道によって相談先を知り、駆け込んだケースもあるようです。仮に名称変更がなければ、合同結婚式や霊感商法などが問題となった「統一教会」への社会の関心が継続し、被害の救済も進んでいたはずです。山上容疑者の犯行動機は謎だらけですが、少なくとも「統一教会」への恨みを募らせて異常な行動に走ることはなかったでしょう。
このような「統一教会」の名称変更を、いったい誰がどんな理由で認めたのか。本来であれば安倍元首相を失った自民党が中心となり、与野党が協力して真相解明を行うべきです。しかし、自民党は後ろ向きで3日に開会した臨時国会もわずか3日で閉じてしまいました。そこで会期末の5日、文科省の事務方トップであった前川喜平・元文部科学事務次官を、野党の側で国会内にお招きし、私が中心となって名称変更の経緯を伺いました。
前川さんが1997年に文化庁宗務課長を務めていた際、はじめて「統一教会」から名称変更の相談を受けましたが、「実態が変わらない以上、名前は変えられない」とし、申請を見送らせていました。その後も同じような相談があったようですが、文科省が当初の方針を変えることはありませんでした。ところが、2015年に突然方針が変わり、名称変更が認められました。この時、前川さんは事務方のナンバー2である文科審議官を務めており、部下から事前に説明を受け「(名称変更を)認証すべきではない」と述べたそうです。
にもかかわらず名称変更が認められたことについて、「私がNOと言ったものを上回るYESの判断を言えるのは事務次官か文科大臣しかいない」「文科大臣がYESともNOとも言わなかったとは考えられない」「文科大臣の意思が働いたことは100%間違いない」と明快に語られました。
当時の文科大臣であった自民党の下村博文代議士は、名称変更について当初は「まったく関わっていない」と他人事のようでした。しかし、その後「統一教会」の関連団体から献金を受け取ったことが明らかとなり、「直接指示したわけではないが、今となっては責任を感じる」と言いぶりが変わってきました。ならば、文科省が黒塗りで隠している決裁書の「変更理由」を公開するよう働きかけるなど、自ら率先して真相を明らかにするべきです。